巻き添え スクリーモ。 ラウドパーク08

[B!] 南スーダン、武力衝突の巻き添えでエボラ検査施設の職員3人死亡 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News

巻き添え スクリーモ

ラウドパーク08 LOUD PARK 08. <2008年10月18・19日: さいたまスーパーアリーナ> 90年代末より絶滅が囁かれて久しい希少種であるところのメタラーなるオモシロ生物が 日本中より集まって阿鼻叫喚のバカ騒ぎを繰り広げるあの二日間が… そうメタルの秋を 〆るに相応しいラウドパークの季節が今年もまたやってまいりました。 ちなみに今年のラインアップは、 正統派HR勢として「AIRBOURNE」「BUCKCHERRY」に「DUFF McKAGAN'S LOADED」、 まだまだ元気なメタルコア勢からは「MACHINE HEAD」「BULLET FOR MY VALENTINE」、 そんなメタルコア厨からいつも叩かれるメロスピ枠で「DRAGONFORCE」「SONATA ARCTICA」、 一部マニア層から熱狂的支持を誇るデスメタル枠として「OBITUARY」「MESHUGGAH」「CARCASS」、 他にも「AVENGED SEVENFOLD」「APOCALYPTICA」と各ジャンルの曲者・個性派が揃い、 そして元パンテラのフィリップ・アンセルモ率いる「DOWN」がよもやのサプライズ参戦、 トリを飾るは新世代メタル代表格の「SLIPKNOT」に、かつて一世を風靡したLAメタル代表格の 「MOTLEY CRUE」と、実はなかなかの粒揃いであることに気づいてしまったミー、 わりかしやる気満々モードで埼玉はスーパーアリーナへと向かったのであります。 *18日(一日目). といっても彼らの演奏する『BIG ROCK』側のアリーナが既に入場規制モードだったんで、 隣の『ULTIMATE』から遠目観戦。 まあ入場したてで気分が高揚してたのもありますけど 初っ端" Stand Up For Rock 'N' Roll"のリフの入りからガツンともっていかれましたね。 この小手先のテクなんぞクソくらえといわんばかりの豪放磊落で単純明快な音造りに、 これで熱くなれなきゃメタル聞く資格なんてないでしょと言わんばかりな原始的パワー 溢れるリフラインときたら…! こりゃ今後伸びるでしょ、どう低めに見積もっても。 特にラストの" Runnin' Wild"途中にて高々と掲げたペットボトルを握り潰しつつシャウト しまくる扇動アクション、これ暖気運転どころか一気にマックスまで場内テンションを 引き上げたんじゃないかと。 いやハナからいいモン拝まさせていただきました。 01:Stand Up For Rock 'N' Roll 02:Hellfire 03:Fat City 04:Girls In Black 05:Too Much, Too Young, Too Fast 06:Runnin' Wild < Apocalyptica > そのまま『ULTIMATE』に居残ってほぼ最前近くで噂のシンフォニック・メタル楽団を鑑賞。 最初に持ってきたのが「Sepultura」のカヴァーってのは意外性抜群だったけどチェロという 楽器の特性上もあってか肝心の音圧がいまいち。 もっと腹に響く音を出せるバンドの筈なん だけど今回はキャパ最大級の大ホールということでその辺の音作りの難しさがあったのかも。 まあパフォーマンス面においてはあの重いチェロを振り回してあれだけアクティブな動きして くれてるだけでも十分評価に値するんですけどね。 「Sonata Arctica」のトニーがさりげなく 登場して1曲披露してくれるというサプライズも含めて、その存在感を認知させるに十分足る ステージングだったんじゃないでしょうか。 演奏中のモッシュならともかく どうして細っこい通路上にておしくらまんじゅうに興じなければならないのか悩んでいたらそのうち 「OBITUARY」のパフォーマンスが始まっちゃって皆発狂というネガティブスパイラルもいいとこな パニックの中を押し分け掻き分け、ようやっと『BIG ROCK』側のアリーナA後方に到着。 漢度メチャ高でメリハリ利いたドス声と特異ジャンルのわりにはっきりくっきりした曲輪郭が 指し示すベクトル解「分かりやすいデスメタル」にノセられまくった末、疾走パートでサークル、 重厚パートではテコンドー乱舞なお兄さん方にわりかしフルでボコな感じに仕上げられた50分。 ベテランらしい安定感を発揮しつつ「守り」的な要素一切なくしてきちんと今現在形の凄みって 奴を見せつけてくれたステージだったんじゃないかと。 あ、サークル中心の「台風の目」ン中でモッシュを仕切りまくってメチャ満足そうにしてたハゲの 外人さんには爆笑しました。 01:Find The Arise 02:On The Floor 03:Chopped In Half 04:Turned Inside Out 05:Forces Realign 06:Dethroned Emperor(Celtic Frost) 07:Threatening Sky 08:By The Light 09:Evil Ways 10:Stand Alone 11:Slow Death 12:Slowly We Rot < MESHUGGAH > 狭い導線の中でふん詰まりになってストレス溜めるのは二度と御免だったので『BIG ROCK』側に そのまま居残ってステージ右斜めまくりな位置から超絶技巧派スラッシャー「MESHUGGAH」を鑑賞 することに。 ところが先ほどの「OBITUARY」に比べて妙に音がチンマリした感じでその超絶テクが 云々とか以前に何やってるのかすらよく分からない状態になっちゃってるわけですわ。 こらあかんわーと思って踵返しかけてたら2曲目で唖然ついでにド肝ぬかれました。 なにこの音の洪水?特にドラムの凄まじさときたら…よくもまあここまで複雑なリズムにビートを、 それも常軌を逸したスピードで刻めるなと。 あまりに凄すぎて盛り上がるどころかむしろポカーン。 彼ら自身はそんな周囲の反応、もしくは曲間で静かになりすぎるのがお気に召さなかったのか、 そのことを指して「チャーチ・スタイル?」と揶揄してましたね。 まあ演奏は上手いにこしたことは ないけど、あまりに度を越えて超絶テクすぎるのも考えものってことですね。 ついでにこの手の繊細な演奏するバンドにとっちゃ今日のPAはちょっと粗雑すぎたかも。 01:Perpetual Black Second 02:Bleed 03:Electric Red 04:Rations Gaze 05:Pravus 06:Straws Pulled At Random 07:Future Breed Machine < Dragon Force > 世界最速のツインソロを誇るアキバ系メロスパーの代表格「ドラフォ」は2年前に単独&ラウパーで 2回見てるせいかミー的にレア度希薄だったので『BIG ROCK』側スタンドよりゆとり鑑賞することに。 原曲の難易度がそもそも異常すぎなことからその再現性に関しては(いつも通り)まったく期待して いなかったんですがこれが今までと同じく原型レイプなピッキョピキョ・プレイのオンパレードかと 思いきやグダグダの一歩手前で踏みとどまった感のある案外まともな演奏だったんで普通なら驚くところ じゃないのを重々承知な上で正直驚嘆。 加えてトランポリンを使った空中えび反りジャンプ弾きや アームを持ってのギター逆さ吊り(今回は膝蹴り上げのおまけ付き)、キーボードの人の目立ちたがり度 100%な発狂ダンスをはじめとする数々のお笑いベクトルへ全開なパフォーマンスは前回以上に スケールアップしてるってんだからそりゃ面白い筈だわ、というか眺めてるだけでここまで笑えてくる バンドはメタル界広しといえどもコイツ等だけだと思います。 その技術・音楽性・ステージング哲学に 至る全方位面においてここまで突き抜けきったもの見せられたら、もはや脱帽するしかないでしょどう 考えても。 ちなみに今回のアウトロは「電脳戦機ヴァーチャロン」、前回の「VF2」に続くアキバ系 路線を今後とも曲げることなく、どこまでも突っ走っていっちゃってほしいなァと思いました。 01:Heroes Of Our Time 02:Fury Of The Storm 03:Reason To Live 04:The Last Journey Home 05:Valley Of The Damned 06:Through The Fire And Flames < Sonata Arctica > 息つく間もなく『ULTIMATE』アリーナAのほぼ最前位置にてソナタ観戦。 前半は「UNIA」からのミドルテンポな曲が多くて正直退屈でした。 まあこの中速メロを活かした展開は 音楽的間口を更に広げようとした結果なんでしょうけど、そのぶん弾けたテイストも抜けてなんか普通に なっちゃったな〜みたいな。 人の入りがマジ尋常じゃなくね? 下手すりゃ去年の倍くらい入っていたかも。 そしてそれだけフロア密度が高まっているにもかかわらず、 ステージ間の導線が細いもんだから、移動にメッチャ時間をくうという根本的問題がそこらで大発生。 案の定ストレス溜め込みまくった血の気の多い組が発狂した末「CARCASS」開始前に『BIG ROCK』側入口 付近の柵を破壊し始めたのを見てチキン魂を熱くたぎらせちゃったミーはアリーナ入りをあえなく断念。 『BIG ROCK』側スタンドのステージにかなり近い位置から「リヴァプールの残虐王」のステージを楽しむ とともに、アリーナ内で憤怒の塊と化してる彼らの凶行&恐慌っぷりを高みの見物と洒落込むことに。 しかしてそのパフォーマンスはというと、メロデスにおける始祖としての部分…例えばここぞという場面で 際立つ珠玉のギターフレーズとか勿論素晴らしかったんですがそれ以上にグラインドコアとしての側面が 凄すぎて… この有無を言わさぬ音圧と絶対の圧力たるや既に凶器かつ狂気レベル?ついでに演出として 使われたモニター動画のグロっぷりも内臓腑分けに眼球スパスパ、駄目押しに腐ったチンコ各種とあんまりに あんまりすぎてむしろ最高でした、「Slipnot」待ちのゴス女子達が本気でドン引いているのを横目に頭振り まくる隔絶感が。 そしてそれら圧倒的アグレッションに煽動されきったオーディエンスらによる常軌を逸した 暴徒っぷりもマジ半端なかったです。 ついでにピックのみならず最後は靴まで投げてたジェフのやりたい放題 っぷりとグロ動画を見た客の反応みてのニヤけ顔、あとスティアーの変態プレイっぷりに対して少し抑え 気味だったように見えるアモット先輩の微妙な立場とか、その辺結構オモシロかったですね。 01:Inpropagation 02:Buried Dreams 03:Corporal Jigsore Quandary 04:Carnal Forge 05:Incarnated Solvent Abuse 06:No Love Lost 07:Edge Of Darkness 08:This Mortal Coil 09:Embodiment 10:Keep On Rotting In The Free World 11:Genital Grinder 12:Death Certificate 13:Ruptured In Purulence 14:Heartwork 15:Carneous Cacoffiny < Avenged Sevenfold > そのまま『BIG ROCK』側スタンドに居残り、遠方より『ULTIMATE』の「A7X」をゆとり鑑賞。 そしてこの時間帯でも柵を破壊&強行突破組が大量発生、全て導線が悪いんですね分かります。 さて「A7X」、バンド実績のわりにこの位置ってな随分優遇されてるなー的なシニカル含みの視点で 見てたんですが、改めて彼らのステージを見てみてなんとなくその理由が分かりました。 とにかくメロディックで聴きやすいのに近代メタルの核たるヘヴィネスさもきっちり織り交ぜてる 辺りの抜群のバランス感覚は際立ってるなと、そりゃ人気でる筈だわと。 でも一昨年のサマソニ07で見たときと比べてどこか薄味になってしまったような感も受けました。 ここ日本でも結構人気高かったあの パンテラのメインシンガーが登場するというのにやけにアリーナ空いてるなーと。 はい、その原因は 全て本日トリの「SlipNot」にありました。 「DOWN」をうかうか最後まで見てたら『ULTIMATE』側の アリーナにゃもう入れなくなるかもしれないからって、みんな既にそっち側に待機しちゃってんのね。 そういう事情だったら逆にアンセルモ兄貴をじっくり見てやろうと思い立ち『BIG ROCK』側のアリーナ 最前付近に位置取って、やる気満々モードと化すミー。 実際このチョイス正解だったと思います。 ルックス的にもちゃんとカッコいい時の兄貴だったし、 重厚・中速を基本に据えたアメリカ南部テイスト交じりの野趣サウンドでもってどこまでも重く迫りくる パンテラ伝来のやり口は、例え疾走なくとも快感は成立しうることを十二分に証明してくれていたし、 自らの額をマイクでゴンゴン、時に荒々しくメンバーに絡んだり「SlipNot」待ちの客をMCで小バカに したりなどの無法者プレイは「らしさ」溢れまくってたしで、ほぼ期待してたモン全部見れましたね。 それを見てるこっち側の人種も案の定というかなんというか「僕はバカです!」オーラ全開の筋肉隆々 揃いな上に兄貴が無言で指回すだけで即サークルモッシュしちゃうような筋金入りのファンばかりだった もんで、演奏中とかそれはもうものゴッツい有様に。 ステージ終了後フロア中に散乱してる靴の数にその 凄まじさが表れていたんじゃないかと。 01:Underneath Everything 02:Hail The Leaf 03:The Path 04:Lysergic Funeral Procession 05:Lifer 06:Pillars Of Eternity 07:N. 08:New Orleans is Dying Whore 09:Losing All 10:Stone The Crow 11:Bury Me In Smoke < Slipknot > 「DOWN」でほぼ燃え尽きちゃったもんで、トリの「SlipNot」はちょっと下がり気味に観戦することに。 ってか人多すぎww 『ULTIMATE』側のアリーナ規制どころか反対側の『BIG ROCK』ですらオール規制、 ついでに人の流れが滞りすぎてスタンドまで規制はいりましたー、ってどんだけー 基本マニア受けなイメージ全開のエクストリーム系なのにほどよく聴きやすいという矛盾に満ち満ちた 不可思議な魅力がこの人気を支えている要因の一端でしょうか?適度にスクリーモ系を混ぜてる辺りも うまいなァって。 ついでにパイロはどっかんどっかん、柱型の照明効果は映えてるわ、ドラム台は回転 しつつそのまませり上がって、その上に天狗面の人が意味なく佇むわと、まるでサーカスを見ている ような感覚に何度もとらわれました。 ついでに「お面」という付加価値が生むメンバーそれぞれの個性 付けも相変わらず上手くて、ステージのどこを見ても楽しいし飽きにくいという長所にますます磨きが かかっているわで、なんかもうすっかり貫禄たっぷりのトリらしいバンドに成長を遂げていましたね。 観客動員への貢献というポイントも加えれば、カーカスと並ぶ今ラウパーのMVPだったじゃないかと。 ・右; 逆さになって転がる死体。 <今日の無駄T> #カーカスのがソッコー売り切れていたんで第2候補のオビチュアリーを購入。 ちゃんとバックプリントも入ってるし、メタルTとしての個性度も強いんで、かなり気に入ってます。 *19日(二日目). < MACHINE HEAD > 元ガンズのイケメン・ベーシスト率いる「DUFF McKAGAN'S LOADED」から見る筈だった 二日目ですがチョイ寝坊しちゃったせいで来た早々いきなり「MACHINE HEAD」という オードブルにしちゃドえらく濃い系のブツを死にもの狂いでブチこむ羽目に。 で、「Machine!Fuckn" Head!」というお馴染みコールにのせて彼らが登場するやいなや 早速に巻き込まれて頓死寸前というラウパーならではの頻発イベントを 半ばやけくそンなって楽しんでたら、今度はギターの調子が悪すぎてステージ上でロブが ブチ切れ&ローディに八つ当たりコンボという願わくばあまり見たくなかったアクシデントを 拝まされることに。 まあローディに新しいギター渡されてもプイっと横向いて受け取るのを 拒否してるロブさんのきかん坊全開な姿はちょっと面白かったですけど。 肝心のパフォーマンスに関しちゃ、原曲メロの判別がほぼ皆無なくらい音響が酷すぎて正直 「?」な内容でしたが、それでも" Halo"のソロには身震いせずにはいられませんでした。 実際生で聴くのはこれで3度目なんですが、それでも未だ飽きがこないどころか相変わらず 感動させられちゃうソロってどんだけ〜 まあその感動の余韻はロブによって投げ込まれた ラムコーク入りのコップ爆弾により瞬時に霧散してしまうことになるわけですが。 ってアンタそれ直撃したらマジで服ベトベトになるから、ってか去年もやってたでしょソレ。 こればっかしは声の大きいほうに投げてやる言われても正直嬉しいやら悲しいやらで非常に 複雑なわけですが、でもここはとりあえず逝っとかなとばかり周囲がみな絶叫するもんだから、 当然のごとくミーはそれの巻き添えくって地獄行きになるわけで。 つまるところ最初から最後 までやけくそ通しの観戦となっちゃいましたが、そんな阿鼻叫喚のステージ下を見てる時の ロブさんメチャ嬉しそうな顔してたし、まあいいかなって。 01:Clenching The Fists Of Dissent 02:Imperium 03:Ten Ton Hammer 04:Beautiful Mourning 05:Aesthetics Of Hate 06:Old 07:Halo 08:Davidian < Bullet For My Valentine > で、次は『CRUE』ステージ側へ移動して「BFMV」を見る予定だったんですが、マシヘで暴れすぎた せいでほぼHPゼロだったもんで『BIG ROCK』側のスタンド席から遠距離&ゆとり観戦することに。 ちなみにミーの「BFMV」に対する観戦記録ですが、サマソニ06時はシンガーが体調崩して東京だけ キャンセル、次年の単独はこっちが仕事でキャンセル、つまり今回は三度目の正直というわけですが そこまで待ち兼ねていたわりにゃあまりいい印象が残りませんでした。 いや確かに悪くはないんですよ?だけどどこかノリきれないというか、昨日の「A7X」でも感じたん ですけど、どーも既存のおいしい曲パーツを組み合わせて切って貼った感が強くて、そこにいまいち 芯が感じられないような気がしちゃったんですよね。 マシヘのあの圧倒的パフォーマンスの後じゃ あまりに分が悪すぎたってのもあったかも。 そこでトリ前の「Buckcherry」を見たわけですが、これ非常に良かったですね。 そして" So Far"" Lit Up"という必殺ブローを温存することなく序盤でもってきた思い切りの良さが 見事にプラスに繋がりましたね。 この躍動感溢れるリフにキャッチーなメロ、そんでもって何千人 単位で「コケイン!」合唱は楽しすぎ!いや、やったことないですけどね。 新譜からの" Don't Go Away"や最大のヒットとなった" Sorry"などのバラード系も全体バランス的に 好アクセントとなってたし、この辺りは本当ステージ巧者だなーって。 LP06の「HCS」、07の「Saxon」、そして今回の「AIRBOURNE」といい、LP出場の正統派HR系は 素晴らしく良質ですね。 既にありふれた音楽ジャンルだからこそ、その中にちゃんと個性を感じさ せるってのは簡単に見えるようで実は凄いことなんじゃないかって、そんなことを思わせてくれた 良パフォーマンスでした。 01:Dirty Mind 02:So Far 03:Broken Glass 04:Lit Up 05:Resucue Me 06:Don't Go Away 07:Too Drunk 08:Next 2 You 09:Onset 10:Everything 11:Sorry 12:Crazy Bitch < Motley Crue > で、トリのモトリーね。 今回のこのチョイスは若手のメタルファンにとっちゃ結構ブーイングもの だったらしいですが彼らが全盛期の頃をリアルタイムで聴いていたこの身としてはかなりのヒット、 確かに最先端メタルと比べちゃったらかなり軟弱な音作りかもしれないけど、でもよくよく聞くと イントロやリフなどの音の骨子部分がメチャかっこいい上に、サビをシャウトして楽しめる構成が 多いんでライブがダレないんですよね。 ついでに単独だと規模的に座席あり設定が普通なモトリーを スタンディングで見れるのもかなり嬉しいところ。 一番の不安要素だったヴィンスの声もサビを ほとんど客に歌わせるという省エネ唱法を除けばまあ出ていたほうだし、セトリは名曲連発の豪華 チョイスな上に最近リリースした新譜からの曲もそれにひけをとらない程ノリよく出来ているわで、 トミーがやけに大人しかったこととステージ・プロダクションが前来日時よりチープだったことを 除けば、今回はかなり当たりの内容だったんじゃないかと。 特にラスト、〆に" Home Sweet Home"ってなバラード選曲は正直どうなの?とも思ったんですけど 祭りの終わりが醸し出す微妙な寂寥感にぴったりハマりすぎていて少し泣けましたね。 01:Kickstart My Heart 02:Wild Side 03:Shout At The Devil 04:Saints Of Los Angeles 05:Live Wire 06:Sick Love Song 07:Red Hot 08:Don't Go Away Mad Just Go Away 09:Same Ol' Situation S. S 10:Mutherfucker Of The Year 11:Primal Scream 12:Louder Than Hell 13:Looks That Kill 14:Girls, Girls, Girls 15:Dr. Feelgood 16:Home Sweet Home <今日の無駄T> #ベッタベタなデザインだけど「らしさ」はふんだんに出てるモトリー・クルーT。 今回ラウパーのTは初日・二日目ともに結構いいのを買えて相当満足ス。 [ ・ ].

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巻き添え スクリーモ

向陽町駅前のファミレス。 4人掛けテーブルの席の向かいに千我勇真と白木屋純也が座っている。 俺は椅子に深く腰掛けて腕組みをしてふたりを見比べながら深く息を吐いた。 窓際に座った千我勇真は大きな体を縮めるように木製の椅子に座り、申し訳ないと言った気持ちを節々から出しながら謝罪会見を開いた朝青龍のような顔でテーブルに置かれたグラスに口をつけた。 その隣に座る白木屋純也はここに来る途中にドラッグストアで買った当て布とテープが張られた左頬を撫でていた。 さっきまで変身を介してふたりと闘っていた事実を未だに受け入れられない自分がいる。 俺は気を強く張ってふたりに声を出した。 「どうして俺の動画を無断転載して、家に嫌がらせをして妹を誘拐したんですか?」ふたりの間にしばしの沈黙が流れ、白木屋が目で合図すると千我が静かに話し始めた。 「まず、ひとつずつ、順を追って説明します。 日比野さんのインドマン動画、再生数凄い伸びてて。 俺らの動画最近全然伸びてなかったから、つい羨ましくてやってしまいました」 「他の人の動画も似たようなやり方で転載してるんでしょ?」「次に嫌がらせの件ですが、」「答えろ!」 テーブルを叩いて立ち上がった俺を夕方の多客が振り返る。 俺は咳払いをしてゆっくりと席に着く。 「あの、ドリンクバー持ってきていいっすか?」「ふざけるな。 他にもやってるんだな?やめろよ。 普通に犯罪だろ。 警察に届けたらサイトのアカウントBANで済まないだろ、それ」 マイペースな白木屋を一瞥すると千我が申し訳なさそうに深く頭を下げた。 「すみません、日比さん。 もうしませんから」「その、日比さんってやめろ。 友達じゃないんだから」 俺はさっきの闘いで俺を見下すように嘲笑った千我の態度を思い出して深く息を飲み込んだ。 「で、社宅への嫌がらせはオレがやりましたー」白木屋が右手を上げてその手をテーブルの上に置いた。 「どうして俺の住んでる場所が分かった?向陽町はお前たちが住んでる都会から大分離れてるだろ」 「えっ、日比、野さん自分で動画に上げてるじゃないですか」千我が自前のノートパッドを開いて見慣れたサムネの動画を再生させた。 そこには去年の秋口に撮った俺のフリートーク動画が写っていた。 「これ、日比さんパソコンのインカメラで撮影してる動画なんすけど、今は部屋の間取りや柱の構造で住んでる所がすぐ分かっちゃう時代なんですよ。 ほら、ここの柱とか居間の間取りとか窓の風景とかに特徴あるじゃないですか。 ネットの有志に訊ねたら速攻で特定できましたよ。 玄関に表札も出してるし」 俺はグラスを取って中の冷たい氷を舐めた。 「で、妹を誘拐してどうするつもりだった?」怒りを押し殺して真っ直ぐ被られたベースボールキャップに問い質す。 「いや、別に目的が済めば普通にお返しするつもりでしたよ。 俺たちだって犯罪者じゃない」「人の妹をご丁寧に亀甲縛りまでしやがって。 六実はまだ高校生だぞ」「ははっ、喰べ頃じゃないっすか」 その瞬間、思わず立ち上がって白木屋の首元を掴んでいた。 闘いのトラウマが残っているのか、自分より体の小さい俺に白木屋は怯えた表情を見せた。 「よしてくださいよ」千我に解かれて俺は再び椅子に深く腰掛ける。 「すんません。 少し調子こきました…ネットではキチガイやってますけど、普段の俺は超まともですよ。 このアクターの力を手に入れてちょっと暴れてみたくなっちゃたんですよ。 信じてくださいよ!俺はレイプなんてやらない!相手も嫌がってるし千我ちゃんも横で見てるのにそんな事できる訳ないじゃないですかっ!正直に言うっ!オレはあなたと同じ、童貞さ!」 白木屋がわめくような主張を言い終えると向かいのボックス席に座る女学生のグループがこっちを振り返っていたずらな笑みを見せた…教えてくれ。 なぜ俺まで巻き添えで恥をかかされた? 「すいません。 ブレンド3つください」店員を呼び止めて3本指を立てた千我を慌てて咎める。 「ちょっと待て!まだ話は終わってない!…なぜお前たちもインドマンみたいに変身できるんだ?そしてお前らが欲しがってた『カード』って一体なんなんだ?」 「えっ?」「なんなんだ?ってあーた」千我と顔を見合わせて俺の言葉をオウム返しした白木屋が不思議そうな顔をして店員から受け取ったコーヒーカップをテーブルの上で受け渡す。 「あっこから変身キットとカードが配送会社から送られてきたでしょーが。 俺たちは選ばれた人間なんだ」カップに砂糖を注ぐ白木屋の隣で千我が俺をちらりと見てカップに口をつけた。 「インドマンはそうじゃないんですか?」「初耳だ。 お前たちが闘う理由はなんなんだ?」「あー、話がこんがらがってきたからひとつずつね」 白木屋がスプーンでカップの中をぐるぐるとかき混ぜた。 ミルクの真っ白な渦が黒いコーヒーの海を泳いでいく。 「4月某日、海外の動画配信会社があるプロジェクトを立ち上げた…ユーチューブを開けば、ランキングに並ぶのはいつも同じ顔ぶれ、飽和しつつある供給高の有象無象な動画達。 それをもう一度まっさらな状態、とまではいわなくても質の高い動画が正当に評価される環境を作るために中堅動画配信者を中心としたあるバトルロイヤルが開かれたというわけさ」 「話が壮大すぎて本筋が見えないな」白木屋の話に呆れて俺はコーヒーを飲み干した。 「ならなぜ戦闘だ?なぜ仮面ライダースタイルだ?」「それがこの国にとって一番分かりやすい闘いだからですよ」 千我が即答して俺はコップをテーブルに音を立てて置いた。 言っている事は似ている。 先代のインドマンと。 「この事は一般人には知らされていないのでご内密に。 そのスポンサーの名は?」「ラ・パールっす。 ほら、ネットにいっぱい広告だして宣伝してるでしょ。 カバディとかクリケットの試合全部やってるって言うインドの動画配信チャンネル」 白木屋の言葉を受けて俺は顎に指を置く。 「その、『アクター・ロワイヤル』で優勝するとどうなるんだ?」「さすが日比さん。 よくぞ、聞いてくださいました!」待ってましたとばかりに千我が手を叩いて立ち上がった。 「なんでもひとつだけ願いを叶えてくれるらしいんですよ!それに優勝したら動画配信者として名前が売れる!これで俺も強さ、実力共に世界NO1の動画配信者になれるんですよ!…家のハンディで動画取り始めてもう7年。 やっと巡ってきたチャンスなんです!」 「はぁ、そうかよ」アクターとして闘えばなんでも願いを叶えてくれるだって?そんなうまい話がありえるのか?だとしたらそれは、どっかの七つ玉アドベンチャーだ。 隣通しで目を輝かせて夢を語り始めた千我と白木屋を眺めて俺は替えのコーヒーに砂糖を注ぎ始めた。 「で、あんた達が俺を襲ってきた理由をまだ聞いてなかったよな?」 内輪話で盛り上がる千我と白木屋に割って入るように俺は再び腹に力を入れて声を出す。 腹が減っているのかメニューを片手に取っていた千我が表情を戻して俺の方に向き直った。 「別に俺の撮ったインドマン動画が伸びてて気に入らなかった、っていう理由でもいい。 あんた達、普段から他人に迷惑かけてるみたいだし」 「それは誤解っすよ~日比野さん」ひんまがった口でコーヒーカップをすする白木屋を見て昨日ユーチューブに上がっていた「しろきーのアポなしチャレンジ!レジャー施設で出てくるビーフカレー、全てボンカレー説を検証!」の内容を思い出して俺は溜息を吐く。 動画の最後にシェフを呼びつけた白木屋が店長から注意を受けて出禁になるという最悪のオチで終わる20分超の大作実写動画だ。 「やだなぁ、日比さん。 せっかく人気に火の着いた面白ユーチューバーを潰すために俺達がこんな田舎まで来た訳ないじゃないですか~」人気ゲーム実況者の悪意のあるモノマネで再生数を伸ばしている千我が笑う。 「アンタは俺に動画配信者を引退しろと言った」「それは言葉の綾、波レイ」カップをテーブルに置いた白木屋が千我の方を向いて黄ばんだ歯を見せる。 「千我ちゃん、教えてやりなよ。 どうやらこの人、本当になんも知らんらしいぜ」 白木屋にそう言われて千我はテーブルの上にのっそりと太い腕を伸ばした。 そして手の平を開くと目をかっ開いてこう、発声した。 「カード!チェック!」千我が声を上げると手の平の上にホログラムのような光が産まれ、薄く青色が着いたカードが数枚回転しながら浮かんだ。 向かいのボックス席に座る女学生のグループが不思議そうにこちらを振り返った。 「安心してください。 一般人には見えない仕様らしいです」千我の言葉を受け流し俺はくるくると回るカードの絵柄を眺めた。 それは漫画や映画で観たことがあるタロットカードのように見えた。 「日比野さんもやってみてくださいよ」白木屋にせがまれて千我と同じように腕を伸ばして声を出す。 「カード!チェック!」すると手の上に5枚のカードが現れた。 それを見て白木屋がテーブルの上に飛び乗るようにしてその絵柄を睨んだ。 「オレ達から奪った『戦車』と『魔術師』の他に『帝王』と『節制』、それに『愚者』のカード」「へぇ、『節制』持ってたのか。 知らなかった」自分のカードを引っ込めて俺の手札を眺める千我に俺は声を返す。 「そういえば闘う前にカードがどうとか言ってたな。 それがこの5枚のカード?」「ええそうです。 アクターは最初にランダムで3枚のカードを与えられる。 インドマンが俺たちとの戦闘で勝利したから俺の持つ『戦車』とこいつの『魔術師』が新たに手に入ったという訳です」 俺は突如、頭痛がして手の平を握ってカードをしまうイメージを浮かべた。 ホログラムが消えてカードが目の前から消えた…そういえば千我の言うとおり、このふたりとの戦闘終了後に二枚のカードを手に入れたのを思い出した。 すると近くの席から中学生くらいの男子ふたりがこっちのテーブルに来て緊張気味に話しかけてきた。 「あ、あの!ユーチューバーの千我ちゃんですよねっ!」名前を呼ばれて千我が大きく構えた態度を取って少年に向き直る。 「おう、そうだけど」「やっぱりそうだ!」「動画、いつも見てます!…良かったらサインもらえませんかっ!?」 「しょうがねぇな~ほれ」手渡されたペンを握り、テーブルの紙ナプキンに自分のサインを書いた千我がそれを少年ふたりに手渡した。 「ありがとうございますっ!最後にいつものやってもらえますか!?」 せがまれて千我はひとつ咳払いをして顔の前でぱぁっと両手を広げた。 動画の一番最初の行われる自己紹介だ。 「ははっ、学生相手に頑張って、っていわれちまった」恥ずかしそうに鼻の下をさすって千我が小さくはにかんだ。 俺は突然の乱入に口を開いてボケっと事の成り行きを見守るしかなかった。 昨今のユーチューバーブームにより、こいつらのような|悪役《ヒール》にもある一定のファンはいる。 「話の途中でしたね。 カードの話でしたっけ?」少年達に気付いてもらえずに悔しかったのか、白木屋が面白くなさそうに話を盛り返した。 「アクターは最初にそれぞれ3枚のカードを受け取って、戦闘でカードを増減させます。 相手に勝てば自分が持っていないカードを手に入れる事ができ、負けたら相手にカードを一枚奪われます。 タロットカードは全部で13種類。 これを全部コンプリートする事が年末に行われる、さっきオレが言った『アクター・ロワイヤル』に参加する条件っす」 白木屋の説明を聞いて俺はこいつらの行動すべてに合点がいった。 アクターの能力を手に入れてカードを集めるためにふたりで手を組んで俺のカードを奪いに来た。 でも、考えるたびに疑問は増えていく。 「カードの説明は分かった。 今度はアクターの能力について聞かせてくれっ!?」俺がふたりに訊ねたその時、目の前の空間がぐにゃりと曲がり、黒と赤の渦がファミレス中を取り囲んだ。 「他のアクターの襲撃です」千我が立ち上がって入り口の方を睨む。 「ステージセレクトしたか。 ま、さすがに人が多いからね」白木屋も腕のバンドを眺めながら声を伸ばす。 「口で言うより実際に経験した方が早いでしょ。 一日に2回戦は厳しいよ~」「おしゃべりは終わりだ…来るぞ!」 千我が俺たちに声を張る。 店内のガラスが真っ暗に包まれて俺たちの身体は亜空間を模した別のステージに浮かんでいた。 「変身!マスク・ザ・アレグロ!」 視界の悪い霧が立ち込めた不気味な空間で後ろの方で千我が変身ベルトを回す。 「なにやってんの。 早くしないと顔こんなになるよ」白木屋が俺に殴られた左頬を指差しながらバンドのスイッチを押す。 俺はふたりの中心に立ち、腰に巻かれたチャクラベルトに指を置く。 「行くぜ!インドマン!」光に包まれて変身を終わらせると目の前から背の高い三色のカラーリングがフォームに施されたアクターが手に握った洋剣の刀身を肩でぽんぽんとリズムを刻むように構えながら現れた。 「やっと変身を終わらせたみたいだなぁ、ひよっこどもぉ~」好戦的な高い声を響かせながらゆっくり近づいてくる敵アクターを見て俺は体の前で構えを取る。 ペストマスクに鬼のような二本角が生えた仮面をつけたその男は俺たちに向かって口の中で笑い声を転がしている。 「お前らみたいな雑魚で固まってる連中を探してたんだ~さっさとオレ様の養分になりなぁ~」「こっちは3人いるんだ。 なめんなよ!」アレグロが俺と闘った時と同じように低い姿勢から沈み込むようにして敵に突進を仕掛けた。 相手の腰に腕を回してそれを掴んでその場で動きを止めるとイル・スクリーモに変身した白木屋が飛び掛る。 「まぁずは初手で重心を崩しに来たかぁ」スクリーモが相手の前で大きく口を開いた。 大声で相手の中枢神経を麻痺させる作戦だ。 「させねーよ。 このクソ雑魚がぁ!」「!?」 喉を引き上げたその瞬間、スクリーモの口から爆炎が吹き上がった。 「おい、どうなってんだ!?」舌を焼かれるように苦しみながら顔を押さえてその場にうずくまるスクリーモにアレグロが応答願う。 腕の力が緩んだ瞬間を見逃さずに敵の男がその場からエスケープ。 「本格的に闘いに入る前に自己紹介させてもらおうかぁ」目の前に現れた背中にカラスの羽のようなマントを羽織ったその男は再度その場から飛び上がって高い場所に立って俺たちを見下ろして言った。 すると目を離した隙にミル・トリコがアレグロの首元に手を掛けていた。 「こいつ、なんて早さだ!」「オマエのスキルはさっき見せてもらったぁ!燃え上がれ!」握り締めたグローブの先から黒い炎が現れて息つく間もなくアレグロの身体を覆いつくした。 悲鳴をあげる時間もなく炎に包まれたアレグロの体躯がその場に崩れ落ちた。 「さて、これで二体片付いたぁ。 オマエはなんだ?こいつらのサポートか?どうせ大した事ないんだろうけどぉ」腰に手を置きながらミル・トリコが俺を見下したように先の尖ったブーツで俺の脛を蹴った。 目の前でふたりが焼かれて頭に血が昇った俺はそのふざけた野郎に鉄拳を振り下ろす。 「インドぉ!」法輪の力によりスローになった相手の動きに合わせて拳を突きたてたはずだった。 「なにが『インドぉ!』だっ!」すんでの所で掴まれた拳から火が巻き上がるのが見えて慌ててその場から飛びのく。 「終わらせるぜ!決めワザだぁ!」ミル・トリコが右手を掲げると空中に腰に差していた洋剣が浮かび、それを握ると刀身を炎を包み込んだ。 どうやらこのアクターは手で握ったものに炎を纏わせる事が出来る能力を持っているようだ。 「えっと、魔人モード!」目には目を。 剣には剣を。 俺は剣を扱う事が出来るムルガンのガシャットをベルト横のケースからまさぐるが焦ってその場に落としてしまう。 「塵になれ!『フレイム・タンブレイド』!」はっと正面を見上げたが遅かった。 視界を真っ赤に燃え盛る火炎が包み込み、気がつくと俺は他のふたりと同じようにファミレスのテーブルの上に仰け反っていた。 「三人相手に勝負あり!このカードはオマエらより俺に相応しい!『帝王』のカードを一枚ずつもらっていくぜぇ!」高笑いが遠ざかると意識を取り戻した千我が乱れた髪を書き上げて俺に言った。 「…これが一般的なアクターバトルです。 相手に勝負を仕掛けて相手からカードを奪う。 持ってるカードがゼロになるとゲームオーバーになります」 「そのゲームオーバーになったらどうなるんだ?」「分かりません。 まだアクターバトルは先月始まったばっかりでまだカード・ゼロは出てませんから」「くっそ、あの野郎。 疲れてなかったら一撃くらい入れてやれたのによー」 白木屋が恨み節をいうようにぶつぶつとテーブルから顔を上げた。 「アクターバトルで負った傷は残りません。 でも人間体で受けた場合は除きますがね」千我に言われて俺は白木屋の左頬のガーゼを見つめる。 「アクターの強さはどうやって変わる?」「ああ?さっきのアクター物凄い強さでしたもんね。 アクターの強さは変身前の自身のスキルによって変わります。 3対1で勝負を仕掛けるなんて、自分の能力によっぽどの自信がないと出来ない芸当だ。 「いや、基本的にスキルはひとアクター1個っすよ」白木屋が千我の代わりに俺に答える。 「インドマンみたいに道具で全く別のアクターに変わる相手なんて自分は見たことがないですね」千我に言われて俺は少し自分の能力に驚いた。 「アイツは多分、だまし討ちでカードを集めてんすよ。 対策を取れば次は負けない」白木屋が力強く拳を握った。 「今はアクターの能力もクラウド化みたいに他者も共有できるようになってるんですよ。 ラ・パールでアクター登録してネットのマイページで確認できるんで」 「アイツ、3枚同じカード持っていきやがったな」「おそらくあいつも他の誰かの協力してカードを集めているんだろ」千我が白木屋に答えて考え込むようにして腕を組んで椅子の上で仰け反った。 空になったコーヒーカップの底を眺めながら白木屋が俺に言った。 「でさぁ、闘ったときに思ったんだけどよぉ。 日比野さんも俺たちの仲間にならねぇ?」「はぁ!?何言ってんだ!」驚いてその場を立ち上がっていた。 どうして散々嫌がらせを受けて妹を誘拐までした相手と手を組まなければならないんだ。 千我が落ち着いた口調で俺に言った。 「俺からもお願いしますよ。 インドマン強いし、アクタークラウドで情報共有できるし」俺は考え込んだ。 「また妹誘拐されるような事、あってもいいんですか?」白木屋の言葉を跳ね除けるように顔を上げて俺は決心をふたりに伝えた。 「わかった。 お前たちふたりと手を組もう」「おっ」「やった」「ただし、条件がある」 俺の提案に目を丸くする千我と白木屋。 暗くなり始めた外の景色に血のような夕焼けが鮮やかに落ちていった。 隣の大学生グループが歌う『前前前世』のリズムを壁伝いに聞きながら司会役の千我が段取りを確認した。 俺はやや緊張した面持ちで白木屋が握るハンディカメラに表情を向ける。 「はい、本番3秒前~2、1... はいどーも、ちっがちゃーんでーす!... え~今日は最近巷を騒がして…あ、こっちじゃないほうか。 えー、向陽町が誇る個性派ユーチューバー、『日々の映像』さんでーす」 「よろしくお願いしまーす」千我が拍手の後、カメラに見えるように右手を俺の方に差し向けた。 俺は頭を何度か下げながらその手を握る。 「…今回も始まりました。 不定期企画『勇真の部屋』。 今回は県外ロケという事で向陽町を訪れました。 さて映像さん。 えーなんでも映像さんはパンとか挟むヤツを使って恐竜の標本を作っているとか?」 「あ、はい。 でも標本というか、模型というか」俺はひとつひとつ丁寧に、分かりやすい言葉を選んで千我の質問に答えていく…俺がファミレスで千我と白木屋に仲間になれ、と誘われたとき、奴らにひとつの条件を出した。 それは俺よりもユーチューバーランクが高い千我の番組にゲストとして参加させてもらう事だった。 これにより、ほとんど伸びなかった『本職』の方の動画にみんなが目を向けてくれるようになると考えたからだ。 「えーそのバッククロージャー?っていうのを使ってトリケラトプスの模型を作っている?」「はい!今はpart18までが公開中でpart24までは撮影が終わっています!」場の空気に慣れて、質問にたいしてどんどん声が大きくなる。 「えー映像さん、ちなみに彼女は?」「か、かのじょ!?」台本にないアドリブの質問に声が裏返る。 ソファに座る俺に向かって質問を続けていた千我がいやらしい顔をしてカメラを振り返った。 「はい、回答はこの通り、という事で。 それで日比さん、今日はその動画で作っている模型をどう作っているか見せてくれると?」 千我の呼び方が俺のハンドルネームではなく、いつもの日比さん呼びに戻っている(まぁどっちも『ひび』なので大差はない)。 俺は「はい」と答えてテーブルの下から持ってきたビニール袋を取り出す。 「さすがに今日ここに持ってくるには大きかったんで、今日はパテでエリマキトカゲを作りますー」「お、おいおい」テーブルの上に材料を並べる俺に千我が引きつった表情で問い掛けてくる。 おそらく動画的に動きがなくなるのを不安視しているのだろう。 「大丈夫だって」俺はそう返してパテを指でこねる。 「これ、粘土ですよね…わくわくさんかよ」席に着き、おとなしく俺の作業を眺める千我の表情を眺めてカメラを待つ白木屋が含み笑いを堪えている。 俺は解説を交えながらドリンクバーの緑茶を繋ぎに使い(こうする事によってトカゲ本来の自然な緑の着色も出来る)最後に妹の所持品である広げたリボンカチューシャを顔に巻き付けて全体のバランスを確認すると「オッケ!」と声を出してやる。 「はい、日比さんによる『エリマキトカゲ』の完成です…見えますかねこれ」カメラ位置を気にする千我に台座を掴んで正面を向けるように促す。 千我がなぜか触りたくないという態度で爪の先でエリマキトカゲの顔が見えるような位置までその模型を少しずつ動かした。 「えー、『日々の映像』、25歳。 模型工作で人生逆転を狙う向陽町のYouTuberでした~…ここの部屋の時間がまだ残ってる。 日比さん、歌いますか?何か一曲」 そう聞きながら千我が俺にハンドマイクを差し向けていた。 俺は普段カラオケに来ないので何を歌えばいいかわからなかったけど場が白けるとイヤなので往年の名曲をデンモクで入力した。 「お、この曲知ってる」テレビに浮かぶ曲名を見て白木屋が声を弾ませる。 「えー、日々の映像さんでデジモンの主題歌にもなったButter-Flyです!どうぞ!」ゴキゲンなイントロが流れる中、千我の曲紹介で俺は立ち上がって高音を張り上げた。 俺は中学時代からこの曲を知っていて口ずさむと元気が出る。 サビ前のパートで千我がうぉううぉう言いながら俺の肩に腕を回してきた。 どうやらこいつもこの曲を知っていたようで一緒に歌いたいらしい。 俺と千我のふたりは自棄気味の大声で今は亡き和田光司が作詞したその印象的なサビを歌い上げていた。 「えー、日比さん。 今日は本当にありがとうございました」収録後、機材を撤収しながら千我が俺に対して礼を言った。 「いい動画が撮れたっすよ」カメラ役だった白木屋も千我に続いて頭を下げた(こいつも歌っているときに合いの手を入れて盛り上げてくれた)。 「俺、パチンコ動画も撮ってるんですけど、この辺りにいい店ありますか?」「いや、俺パチンコしないからわかんない」「ははっ、そういえば日比さんニートでしたもんね。 失礼しました」 相変わらず人を馬鹿にしたような態度で千我がその大きな体をソファから持ち上げた。 「…これで遺恨なし!インドマンは俺たちの仲間に加わった、と考えていいんですね、日比さん?」 問いかけられて俺は満足してうなづく。 「俺、この向陽町気に入りましたよ。 ウィークリー借りるんで週末は駅周辺で動画撮ります。 何かあったらケータイで連絡しますんで。 それじゃ」 そう別れを告げて千我と白木屋のふたりとはカラオケ屋の前で分かれた…本当にこれで良かったんだろうか?もう一人の俺が俺に問い掛ける。 それでも奴らは俺に力を貸すと約束してくれた。 ラ・パールに見出されたアクターという存在。 その中で巻き込まれたアクターズ・ロワイヤルに出場するためのカード集め。 謎の強力な敵アクター。 ひとりで行動するにはあまりにも情報が少なすぎる。 今はあいつ等を信頼するほかないだろう。 まるで俺を幼児性を持ったまま大人になってしまった哀れな中年男性であるような悪意のあるテロップが常に画面下に流れ、俺が長く喋るたびに哀愁漂うBGMが付けられていた。 その上、俺が『エリマキトカゲ』を制作する時間はわずか1分半で、動画のほとんどの尺が冒頭のインタビューとラストのカラオケに割かれていた。 俺は長い溜息のあとノートパソコンを閉じて視聴者によって動画に付けられた暴力的なコメントをすぐさま削除するように千我に電話を掛けましたとさ。 第三皿目 ひと口で、尋常でない辛辛だと見抜いたよ -完- 混じるバジル 先生に励ましのお便りを送ろう!! sage.

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ラウドパーク08

巻き添え スクリーモ

向陽町駅前のファミレス。 4人掛けテーブルの席の向かいに千我勇真と白木屋純也が座っている。 俺は椅子に深く腰掛けて腕組みをしてふたりを見比べながら深く息を吐いた。 窓際に座った千我勇真は大きな体を縮めるように木製の椅子に座り、申し訳ないと言った気持ちを節々から出しながら謝罪会見を開いた朝青龍のような顔でテーブルに置かれたグラスに口をつけた。 その隣に座る白木屋純也はここに来る途中にドラッグストアで買った当て布とテープが張られた左頬を撫でていた。 さっきまで変身を介してふたりと闘っていた事実を未だに受け入れられない自分がいる。 俺は気を強く張ってふたりに声を出した。 「どうして俺の動画を無断転載して、家に嫌がらせをして妹を誘拐したんですか?」ふたりの間にしばしの沈黙が流れ、白木屋が目で合図すると千我が静かに話し始めた。 「まず、ひとつずつ、順を追って説明します。 日比野さんのインドマン動画、再生数凄い伸びてて。 俺らの動画最近全然伸びてなかったから、つい羨ましくてやってしまいました」 「他の人の動画も似たようなやり方で転載してるんでしょ?」「次に嫌がらせの件ですが、」「答えろ!」 テーブルを叩いて立ち上がった俺を夕方の多客が振り返る。 俺は咳払いをしてゆっくりと席に着く。 「あの、ドリンクバー持ってきていいっすか?」「ふざけるな。 他にもやってるんだな?やめろよ。 普通に犯罪だろ。 警察に届けたらサイトのアカウントBANで済まないだろ、それ」 マイペースな白木屋を一瞥すると千我が申し訳なさそうに深く頭を下げた。 「すみません、日比さん。 もうしませんから」「その、日比さんってやめろ。 友達じゃないんだから」 俺はさっきの闘いで俺を見下すように嘲笑った千我の態度を思い出して深く息を飲み込んだ。 「で、社宅への嫌がらせはオレがやりましたー」白木屋が右手を上げてその手をテーブルの上に置いた。 「どうして俺の住んでる場所が分かった?向陽町はお前たちが住んでる都会から大分離れてるだろ」 「えっ、日比、野さん自分で動画に上げてるじゃないですか」千我が自前のノートパッドを開いて見慣れたサムネの動画を再生させた。 そこには去年の秋口に撮った俺のフリートーク動画が写っていた。 「これ、日比さんパソコンのインカメラで撮影してる動画なんすけど、今は部屋の間取りや柱の構造で住んでる所がすぐ分かっちゃう時代なんですよ。 ほら、ここの柱とか居間の間取りとか窓の風景とかに特徴あるじゃないですか。 ネットの有志に訊ねたら速攻で特定できましたよ。 玄関に表札も出してるし」 俺はグラスを取って中の冷たい氷を舐めた。 「で、妹を誘拐してどうするつもりだった?」怒りを押し殺して真っ直ぐ被られたベースボールキャップに問い質す。 「いや、別に目的が済めば普通にお返しするつもりでしたよ。 俺たちだって犯罪者じゃない」「人の妹をご丁寧に亀甲縛りまでしやがって。 六実はまだ高校生だぞ」「ははっ、喰べ頃じゃないっすか」 その瞬間、思わず立ち上がって白木屋の首元を掴んでいた。 闘いのトラウマが残っているのか、自分より体の小さい俺に白木屋は怯えた表情を見せた。 「よしてくださいよ」千我に解かれて俺は再び椅子に深く腰掛ける。 「すんません。 少し調子こきました…ネットではキチガイやってますけど、普段の俺は超まともですよ。 このアクターの力を手に入れてちょっと暴れてみたくなっちゃたんですよ。 信じてくださいよ!俺はレイプなんてやらない!相手も嫌がってるし千我ちゃんも横で見てるのにそんな事できる訳ないじゃないですかっ!正直に言うっ!オレはあなたと同じ、童貞さ!」 白木屋がわめくような主張を言い終えると向かいのボックス席に座る女学生のグループがこっちを振り返っていたずらな笑みを見せた…教えてくれ。 なぜ俺まで巻き添えで恥をかかされた? 「すいません。 ブレンド3つください」店員を呼び止めて3本指を立てた千我を慌てて咎める。 「ちょっと待て!まだ話は終わってない!…なぜお前たちもインドマンみたいに変身できるんだ?そしてお前らが欲しがってた『カード』って一体なんなんだ?」 「えっ?」「なんなんだ?ってあーた」千我と顔を見合わせて俺の言葉をオウム返しした白木屋が不思議そうな顔をして店員から受け取ったコーヒーカップをテーブルの上で受け渡す。 「あっこから変身キットとカードが配送会社から送られてきたでしょーが。 俺たちは選ばれた人間なんだ」カップに砂糖を注ぐ白木屋の隣で千我が俺をちらりと見てカップに口をつけた。 「インドマンはそうじゃないんですか?」「初耳だ。 お前たちが闘う理由はなんなんだ?」「あー、話がこんがらがってきたからひとつずつね」 白木屋がスプーンでカップの中をぐるぐるとかき混ぜた。 ミルクの真っ白な渦が黒いコーヒーの海を泳いでいく。 「4月某日、海外の動画配信会社があるプロジェクトを立ち上げた…ユーチューブを開けば、ランキングに並ぶのはいつも同じ顔ぶれ、飽和しつつある供給高の有象無象な動画達。 それをもう一度まっさらな状態、とまではいわなくても質の高い動画が正当に評価される環境を作るために中堅動画配信者を中心としたあるバトルロイヤルが開かれたというわけさ」 「話が壮大すぎて本筋が見えないな」白木屋の話に呆れて俺はコーヒーを飲み干した。 「ならなぜ戦闘だ?なぜ仮面ライダースタイルだ?」「それがこの国にとって一番分かりやすい闘いだからですよ」 千我が即答して俺はコップをテーブルに音を立てて置いた。 言っている事は似ている。 先代のインドマンと。 「この事は一般人には知らされていないのでご内密に。 そのスポンサーの名は?」「ラ・パールっす。 ほら、ネットにいっぱい広告だして宣伝してるでしょ。 カバディとかクリケットの試合全部やってるって言うインドの動画配信チャンネル」 白木屋の言葉を受けて俺は顎に指を置く。 「その、『アクター・ロワイヤル』で優勝するとどうなるんだ?」「さすが日比さん。 よくぞ、聞いてくださいました!」待ってましたとばかりに千我が手を叩いて立ち上がった。 「なんでもひとつだけ願いを叶えてくれるらしいんですよ!それに優勝したら動画配信者として名前が売れる!これで俺も強さ、実力共に世界NO1の動画配信者になれるんですよ!…家のハンディで動画取り始めてもう7年。 やっと巡ってきたチャンスなんです!」 「はぁ、そうかよ」アクターとして闘えばなんでも願いを叶えてくれるだって?そんなうまい話がありえるのか?だとしたらそれは、どっかの七つ玉アドベンチャーだ。 隣通しで目を輝かせて夢を語り始めた千我と白木屋を眺めて俺は替えのコーヒーに砂糖を注ぎ始めた。 「で、あんた達が俺を襲ってきた理由をまだ聞いてなかったよな?」 内輪話で盛り上がる千我と白木屋に割って入るように俺は再び腹に力を入れて声を出す。 腹が減っているのかメニューを片手に取っていた千我が表情を戻して俺の方に向き直った。 「別に俺の撮ったインドマン動画が伸びてて気に入らなかった、っていう理由でもいい。 あんた達、普段から他人に迷惑かけてるみたいだし」 「それは誤解っすよ~日比野さん」ひんまがった口でコーヒーカップをすする白木屋を見て昨日ユーチューブに上がっていた「しろきーのアポなしチャレンジ!レジャー施設で出てくるビーフカレー、全てボンカレー説を検証!」の内容を思い出して俺は溜息を吐く。 動画の最後にシェフを呼びつけた白木屋が店長から注意を受けて出禁になるという最悪のオチで終わる20分超の大作実写動画だ。 「やだなぁ、日比さん。 せっかく人気に火の着いた面白ユーチューバーを潰すために俺達がこんな田舎まで来た訳ないじゃないですか~」人気ゲーム実況者の悪意のあるモノマネで再生数を伸ばしている千我が笑う。 「アンタは俺に動画配信者を引退しろと言った」「それは言葉の綾、波レイ」カップをテーブルに置いた白木屋が千我の方を向いて黄ばんだ歯を見せる。 「千我ちゃん、教えてやりなよ。 どうやらこの人、本当になんも知らんらしいぜ」 白木屋にそう言われて千我はテーブルの上にのっそりと太い腕を伸ばした。 そして手の平を開くと目をかっ開いてこう、発声した。 「カード!チェック!」千我が声を上げると手の平の上にホログラムのような光が産まれ、薄く青色が着いたカードが数枚回転しながら浮かんだ。 向かいのボックス席に座る女学生のグループが不思議そうにこちらを振り返った。 「安心してください。 一般人には見えない仕様らしいです」千我の言葉を受け流し俺はくるくると回るカードの絵柄を眺めた。 それは漫画や映画で観たことがあるタロットカードのように見えた。 「日比野さんもやってみてくださいよ」白木屋にせがまれて千我と同じように腕を伸ばして声を出す。 「カード!チェック!」すると手の上に5枚のカードが現れた。 それを見て白木屋がテーブルの上に飛び乗るようにしてその絵柄を睨んだ。 「オレ達から奪った『戦車』と『魔術師』の他に『帝王』と『節制』、それに『愚者』のカード」「へぇ、『節制』持ってたのか。 知らなかった」自分のカードを引っ込めて俺の手札を眺める千我に俺は声を返す。 「そういえば闘う前にカードがどうとか言ってたな。 それがこの5枚のカード?」「ええそうです。 アクターは最初にランダムで3枚のカードを与えられる。 インドマンが俺たちとの戦闘で勝利したから俺の持つ『戦車』とこいつの『魔術師』が新たに手に入ったという訳です」 俺は突如、頭痛がして手の平を握ってカードをしまうイメージを浮かべた。 ホログラムが消えてカードが目の前から消えた…そういえば千我の言うとおり、このふたりとの戦闘終了後に二枚のカードを手に入れたのを思い出した。 すると近くの席から中学生くらいの男子ふたりがこっちのテーブルに来て緊張気味に話しかけてきた。 「あ、あの!ユーチューバーの千我ちゃんですよねっ!」名前を呼ばれて千我が大きく構えた態度を取って少年に向き直る。 「おう、そうだけど」「やっぱりそうだ!」「動画、いつも見てます!…良かったらサインもらえませんかっ!?」 「しょうがねぇな~ほれ」手渡されたペンを握り、テーブルの紙ナプキンに自分のサインを書いた千我がそれを少年ふたりに手渡した。 「ありがとうございますっ!最後にいつものやってもらえますか!?」 せがまれて千我はひとつ咳払いをして顔の前でぱぁっと両手を広げた。 動画の一番最初の行われる自己紹介だ。 「ははっ、学生相手に頑張って、っていわれちまった」恥ずかしそうに鼻の下をさすって千我が小さくはにかんだ。 俺は突然の乱入に口を開いてボケっと事の成り行きを見守るしかなかった。 昨今のユーチューバーブームにより、こいつらのような|悪役《ヒール》にもある一定のファンはいる。 「話の途中でしたね。 カードの話でしたっけ?」少年達に気付いてもらえずに悔しかったのか、白木屋が面白くなさそうに話を盛り返した。 「アクターは最初にそれぞれ3枚のカードを受け取って、戦闘でカードを増減させます。 相手に勝てば自分が持っていないカードを手に入れる事ができ、負けたら相手にカードを一枚奪われます。 タロットカードは全部で13種類。 これを全部コンプリートする事が年末に行われる、さっきオレが言った『アクター・ロワイヤル』に参加する条件っす」 白木屋の説明を聞いて俺はこいつらの行動すべてに合点がいった。 アクターの能力を手に入れてカードを集めるためにふたりで手を組んで俺のカードを奪いに来た。 でも、考えるたびに疑問は増えていく。 「カードの説明は分かった。 今度はアクターの能力について聞かせてくれっ!?」俺がふたりに訊ねたその時、目の前の空間がぐにゃりと曲がり、黒と赤の渦がファミレス中を取り囲んだ。 「他のアクターの襲撃です」千我が立ち上がって入り口の方を睨む。 「ステージセレクトしたか。 ま、さすがに人が多いからね」白木屋も腕のバンドを眺めながら声を伸ばす。 「口で言うより実際に経験した方が早いでしょ。 一日に2回戦は厳しいよ~」「おしゃべりは終わりだ…来るぞ!」 千我が俺たちに声を張る。 店内のガラスが真っ暗に包まれて俺たちの身体は亜空間を模した別のステージに浮かんでいた。 「変身!マスク・ザ・アレグロ!」 視界の悪い霧が立ち込めた不気味な空間で後ろの方で千我が変身ベルトを回す。 「なにやってんの。 早くしないと顔こんなになるよ」白木屋が俺に殴られた左頬を指差しながらバンドのスイッチを押す。 俺はふたりの中心に立ち、腰に巻かれたチャクラベルトに指を置く。 「行くぜ!インドマン!」光に包まれて変身を終わらせると目の前から背の高い三色のカラーリングがフォームに施されたアクターが手に握った洋剣の刀身を肩でぽんぽんとリズムを刻むように構えながら現れた。 「やっと変身を終わらせたみたいだなぁ、ひよっこどもぉ~」好戦的な高い声を響かせながらゆっくり近づいてくる敵アクターを見て俺は体の前で構えを取る。 ペストマスクに鬼のような二本角が生えた仮面をつけたその男は俺たちに向かって口の中で笑い声を転がしている。 「お前らみたいな雑魚で固まってる連中を探してたんだ~さっさとオレ様の養分になりなぁ~」「こっちは3人いるんだ。 なめんなよ!」アレグロが俺と闘った時と同じように低い姿勢から沈み込むようにして敵に突進を仕掛けた。 相手の腰に腕を回してそれを掴んでその場で動きを止めるとイル・スクリーモに変身した白木屋が飛び掛る。 「まぁずは初手で重心を崩しに来たかぁ」スクリーモが相手の前で大きく口を開いた。 大声で相手の中枢神経を麻痺させる作戦だ。 「させねーよ。 このクソ雑魚がぁ!」「!?」 喉を引き上げたその瞬間、スクリーモの口から爆炎が吹き上がった。 「おい、どうなってんだ!?」舌を焼かれるように苦しみながら顔を押さえてその場にうずくまるスクリーモにアレグロが応答願う。 腕の力が緩んだ瞬間を見逃さずに敵の男がその場からエスケープ。 「本格的に闘いに入る前に自己紹介させてもらおうかぁ」目の前に現れた背中にカラスの羽のようなマントを羽織ったその男は再度その場から飛び上がって高い場所に立って俺たちを見下ろして言った。 すると目を離した隙にミル・トリコがアレグロの首元に手を掛けていた。 「こいつ、なんて早さだ!」「オマエのスキルはさっき見せてもらったぁ!燃え上がれ!」握り締めたグローブの先から黒い炎が現れて息つく間もなくアレグロの身体を覆いつくした。 悲鳴をあげる時間もなく炎に包まれたアレグロの体躯がその場に崩れ落ちた。 「さて、これで二体片付いたぁ。 オマエはなんだ?こいつらのサポートか?どうせ大した事ないんだろうけどぉ」腰に手を置きながらミル・トリコが俺を見下したように先の尖ったブーツで俺の脛を蹴った。 目の前でふたりが焼かれて頭に血が昇った俺はそのふざけた野郎に鉄拳を振り下ろす。 「インドぉ!」法輪の力によりスローになった相手の動きに合わせて拳を突きたてたはずだった。 「なにが『インドぉ!』だっ!」すんでの所で掴まれた拳から火が巻き上がるのが見えて慌ててその場から飛びのく。 「終わらせるぜ!決めワザだぁ!」ミル・トリコが右手を掲げると空中に腰に差していた洋剣が浮かび、それを握ると刀身を炎を包み込んだ。 どうやらこのアクターは手で握ったものに炎を纏わせる事が出来る能力を持っているようだ。 「えっと、魔人モード!」目には目を。 剣には剣を。 俺は剣を扱う事が出来るムルガンのガシャットをベルト横のケースからまさぐるが焦ってその場に落としてしまう。 「塵になれ!『フレイム・タンブレイド』!」はっと正面を見上げたが遅かった。 視界を真っ赤に燃え盛る火炎が包み込み、気がつくと俺は他のふたりと同じようにファミレスのテーブルの上に仰け反っていた。 「三人相手に勝負あり!このカードはオマエらより俺に相応しい!『帝王』のカードを一枚ずつもらっていくぜぇ!」高笑いが遠ざかると意識を取り戻した千我が乱れた髪を書き上げて俺に言った。 「…これが一般的なアクターバトルです。 相手に勝負を仕掛けて相手からカードを奪う。 持ってるカードがゼロになるとゲームオーバーになります」 「そのゲームオーバーになったらどうなるんだ?」「分かりません。 まだアクターバトルは先月始まったばっかりでまだカード・ゼロは出てませんから」「くっそ、あの野郎。 疲れてなかったら一撃くらい入れてやれたのによー」 白木屋が恨み節をいうようにぶつぶつとテーブルから顔を上げた。 「アクターバトルで負った傷は残りません。 でも人間体で受けた場合は除きますがね」千我に言われて俺は白木屋の左頬のガーゼを見つめる。 「アクターの強さはどうやって変わる?」「ああ?さっきのアクター物凄い強さでしたもんね。 アクターの強さは変身前の自身のスキルによって変わります。 3対1で勝負を仕掛けるなんて、自分の能力によっぽどの自信がないと出来ない芸当だ。 「いや、基本的にスキルはひとアクター1個っすよ」白木屋が千我の代わりに俺に答える。 「インドマンみたいに道具で全く別のアクターに変わる相手なんて自分は見たことがないですね」千我に言われて俺は少し自分の能力に驚いた。 「アイツは多分、だまし討ちでカードを集めてんすよ。 対策を取れば次は負けない」白木屋が力強く拳を握った。 「今はアクターの能力もクラウド化みたいに他者も共有できるようになってるんですよ。 ラ・パールでアクター登録してネットのマイページで確認できるんで」 「アイツ、3枚同じカード持っていきやがったな」「おそらくあいつも他の誰かの協力してカードを集めているんだろ」千我が白木屋に答えて考え込むようにして腕を組んで椅子の上で仰け反った。 空になったコーヒーカップの底を眺めながら白木屋が俺に言った。 「でさぁ、闘ったときに思ったんだけどよぉ。 日比野さんも俺たちの仲間にならねぇ?」「はぁ!?何言ってんだ!」驚いてその場を立ち上がっていた。 どうして散々嫌がらせを受けて妹を誘拐までした相手と手を組まなければならないんだ。 千我が落ち着いた口調で俺に言った。 「俺からもお願いしますよ。 インドマン強いし、アクタークラウドで情報共有できるし」俺は考え込んだ。 「また妹誘拐されるような事、あってもいいんですか?」白木屋の言葉を跳ね除けるように顔を上げて俺は決心をふたりに伝えた。 「わかった。 お前たちふたりと手を組もう」「おっ」「やった」「ただし、条件がある」 俺の提案に目を丸くする千我と白木屋。 暗くなり始めた外の景色に血のような夕焼けが鮮やかに落ちていった。 隣の大学生グループが歌う『前前前世』のリズムを壁伝いに聞きながら司会役の千我が段取りを確認した。 俺はやや緊張した面持ちで白木屋が握るハンディカメラに表情を向ける。 「はい、本番3秒前~2、1... はいどーも、ちっがちゃーんでーす!... え~今日は最近巷を騒がして…あ、こっちじゃないほうか。 えー、向陽町が誇る個性派ユーチューバー、『日々の映像』さんでーす」 「よろしくお願いしまーす」千我が拍手の後、カメラに見えるように右手を俺の方に差し向けた。 俺は頭を何度か下げながらその手を握る。 「…今回も始まりました。 不定期企画『勇真の部屋』。 今回は県外ロケという事で向陽町を訪れました。 さて映像さん。 えーなんでも映像さんはパンとか挟むヤツを使って恐竜の標本を作っているとか?」 「あ、はい。 でも標本というか、模型というか」俺はひとつひとつ丁寧に、分かりやすい言葉を選んで千我の質問に答えていく…俺がファミレスで千我と白木屋に仲間になれ、と誘われたとき、奴らにひとつの条件を出した。 それは俺よりもユーチューバーランクが高い千我の番組にゲストとして参加させてもらう事だった。 これにより、ほとんど伸びなかった『本職』の方の動画にみんなが目を向けてくれるようになると考えたからだ。 「えーそのバッククロージャー?っていうのを使ってトリケラトプスの模型を作っている?」「はい!今はpart18までが公開中でpart24までは撮影が終わっています!」場の空気に慣れて、質問にたいしてどんどん声が大きくなる。 「えー映像さん、ちなみに彼女は?」「か、かのじょ!?」台本にないアドリブの質問に声が裏返る。 ソファに座る俺に向かって質問を続けていた千我がいやらしい顔をしてカメラを振り返った。 「はい、回答はこの通り、という事で。 それで日比さん、今日はその動画で作っている模型をどう作っているか見せてくれると?」 千我の呼び方が俺のハンドルネームではなく、いつもの日比さん呼びに戻っている(まぁどっちも『ひび』なので大差はない)。 俺は「はい」と答えてテーブルの下から持ってきたビニール袋を取り出す。 「さすがに今日ここに持ってくるには大きかったんで、今日はパテでエリマキトカゲを作りますー」「お、おいおい」テーブルの上に材料を並べる俺に千我が引きつった表情で問い掛けてくる。 おそらく動画的に動きがなくなるのを不安視しているのだろう。 「大丈夫だって」俺はそう返してパテを指でこねる。 「これ、粘土ですよね…わくわくさんかよ」席に着き、おとなしく俺の作業を眺める千我の表情を眺めてカメラを待つ白木屋が含み笑いを堪えている。 俺は解説を交えながらドリンクバーの緑茶を繋ぎに使い(こうする事によってトカゲ本来の自然な緑の着色も出来る)最後に妹の所持品である広げたリボンカチューシャを顔に巻き付けて全体のバランスを確認すると「オッケ!」と声を出してやる。 「はい、日比さんによる『エリマキトカゲ』の完成です…見えますかねこれ」カメラ位置を気にする千我に台座を掴んで正面を向けるように促す。 千我がなぜか触りたくないという態度で爪の先でエリマキトカゲの顔が見えるような位置までその模型を少しずつ動かした。 「えー、『日々の映像』、25歳。 模型工作で人生逆転を狙う向陽町のYouTuberでした~…ここの部屋の時間がまだ残ってる。 日比さん、歌いますか?何か一曲」 そう聞きながら千我が俺にハンドマイクを差し向けていた。 俺は普段カラオケに来ないので何を歌えばいいかわからなかったけど場が白けるとイヤなので往年の名曲をデンモクで入力した。 「お、この曲知ってる」テレビに浮かぶ曲名を見て白木屋が声を弾ませる。 「えー、日々の映像さんでデジモンの主題歌にもなったButter-Flyです!どうぞ!」ゴキゲンなイントロが流れる中、千我の曲紹介で俺は立ち上がって高音を張り上げた。 俺は中学時代からこの曲を知っていて口ずさむと元気が出る。 サビ前のパートで千我がうぉううぉう言いながら俺の肩に腕を回してきた。 どうやらこいつもこの曲を知っていたようで一緒に歌いたいらしい。 俺と千我のふたりは自棄気味の大声で今は亡き和田光司が作詞したその印象的なサビを歌い上げていた。 「えー、日比さん。 今日は本当にありがとうございました」収録後、機材を撤収しながら千我が俺に対して礼を言った。 「いい動画が撮れたっすよ」カメラ役だった白木屋も千我に続いて頭を下げた(こいつも歌っているときに合いの手を入れて盛り上げてくれた)。 「俺、パチンコ動画も撮ってるんですけど、この辺りにいい店ありますか?」「いや、俺パチンコしないからわかんない」「ははっ、そういえば日比さんニートでしたもんね。 失礼しました」 相変わらず人を馬鹿にしたような態度で千我がその大きな体をソファから持ち上げた。 「…これで遺恨なし!インドマンは俺たちの仲間に加わった、と考えていいんですね、日比さん?」 問いかけられて俺は満足してうなづく。 「俺、この向陽町気に入りましたよ。 ウィークリー借りるんで週末は駅周辺で動画撮ります。 何かあったらケータイで連絡しますんで。 それじゃ」 そう別れを告げて千我と白木屋のふたりとはカラオケ屋の前で分かれた…本当にこれで良かったんだろうか?もう一人の俺が俺に問い掛ける。 それでも奴らは俺に力を貸すと約束してくれた。 ラ・パールに見出されたアクターという存在。 その中で巻き込まれたアクターズ・ロワイヤルに出場するためのカード集め。 謎の強力な敵アクター。 ひとりで行動するにはあまりにも情報が少なすぎる。 今はあいつ等を信頼するほかないだろう。 まるで俺を幼児性を持ったまま大人になってしまった哀れな中年男性であるような悪意のあるテロップが常に画面下に流れ、俺が長く喋るたびに哀愁漂うBGMが付けられていた。 その上、俺が『エリマキトカゲ』を制作する時間はわずか1分半で、動画のほとんどの尺が冒頭のインタビューとラストのカラオケに割かれていた。 俺は長い溜息のあとノートパソコンを閉じて視聴者によって動画に付けられた暴力的なコメントをすぐさま削除するように千我に電話を掛けましたとさ。 第三皿目 ひと口で、尋常でない辛辛だと見抜いたよ -完- 混じるバジル 先生に励ましのお便りを送ろう!! sage.

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