最も遠い天体。 人類は、宇宙のどこまで到達できた?

MACS0647

最も遠い天体

image credit:Carnegie Institute for Science 11月に新たに発見された天体は、これまで太陽系で発見されたものとしては最も遠くにある天体であることが判明した。 太陽系内で地球と太陽の距離の100倍以上も離れた天体が発見されたのは観測史上初のことだ。 ピンク色のこの天体の国際天文学連合による暫定的な名称は「2018 VG18」。 一方、発見したチームは「ファーアウト(Farout)」という愛称で呼んでいる。 ・地球と太陽の距離の120倍の最果てで発見 ファーアウトは太陽から120AU(天文単位。 1AUは太陽と地球の距離)離れたところで発見された。 太陽と冥王星との現在の距離(34AU)の3. 5倍遠く、これまで太陽系で一番遠くにあるとされていた準惑星エリス(現在96AU)のさらに向こうにある。 太陽風が届く範囲、つまり太陽の影響力が及ぶ範囲を太陽圏というが、つい最近ボイジャー2号がここを脱出した。 そのボイジャー2号がまさに到達した距離が120AUである。 image credit:Scott S. ・ピンク色なのは氷が大量にあるからか? また、ピンクっぽい色合いであるために、氷が大量にあると推測されている。 誤解のないように説明しておくと、ファーアウトは現時点では太陽系内で最も遠いところで発見された天体であるが、それより遠いところに天体がないというわけではない。 実際900AU先にはセドナという準惑星が楕円軌道を描いているし、5000〜10万AUの範囲にあるオールトの雲にはおそらく数兆という彗星が存在する。 image credit:Carnegie Institute for Science ・その軌道の研究から惑星Xの発見につながるかも 現在、発見チームはファーアウトに及んでいる重力の影響を詳しく調べているところだ。 海王星よりも遠い軌道に「惑星X」や「プラネット・ナイン」と呼ばれる惑星が存在するという仮説があるが、その重力がファーアウトに影響を与えていないかどうか確かめようというのだ。 ファーアウトの動きはほかの太陽系内の天体に比べるとゆっくりで、その軌道が完全に確認されるまでには数年かかるだろうという。 しかし発見された場所は、最遠太陽系天体(extreme solar system object)と呼ばれる天体が存在する領域に近く、そこに属する天体と同じような軌道を持っている可能性がある。 数百AU先に巨大な惑星が存在するのではと推測されているのは、遠方にあるいくつもの天体が似たような軌道を持つからだ。 惑星Xはあまりにも遠すぎて今のところ未発見のままだ。 しかし仮にそれが存在するのだとすれば、遠すぎて内惑星からの影響を受けない天体の軌道を変えることができるだろう。 このために、ファーアウトのような天体が描いている軌道の傾向を研究すれば、惑星Xの位置を割り出せるかもしれないのである。 ある程度まで位置を絞り込むことができれば、高性能の望遠鏡で実際に発見できる見込みも高まることだろう。

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人類は、宇宙のどこまで到達できた?

最も遠い天体

[画像のクリックで拡大表示] 宇宙で最も遠い銀河が新たに見つかった。 このほど米国ハワイのケックI望遠鏡が、131億年前にこの銀河EGS-zs8-1を出て、はるばる地球まで旅してきた光をとらえたのである。 この記録も遅かれ早かれ覆される運命かもしれないが、現時点でEGS-zs8-1がこれまでに発見された最遠の銀河であることは確かだ。 今回とらえられた光は、ビッグバンから7億年も経たない時代に、誕生から約1億年しか経っていないEGS-zs8-1銀河の星から発せられた。 ちなみに、私たちの銀河系は誕生から132億年経過している。 今回の論文を『アストロフィジカル・ジャーナル・レターズ』誌に発表した米エール大学のパスカル・オシュ氏は、「これほど古い時代まで遡ることができたのは驚異的」と語る。 「暗黒時代」に一歩近づく オシュ氏らが興味を持っているのは、抜きつ抜かれつの競争で一時的な勝利をおさめることではない。 「私たちを取り巻く世界を構成するすべての元素は、初期宇宙の銀河の中で作り出されたと考えられているからです」と彼は言う。 今回の発見は、ビッグバン後の宇宙の「暗黒時代」から最初の星々が形成された過程を解き明かすのに役立つだろう。 米カリフォルニア工科大学の天体物理学者リチャード・エリス氏は今回の研究には関与していないが、「彼らの研究には強い説得力があり、これによりまた一歩、暗黒時代に近づくことができました」と言う。 実はエリス氏は、ビッグバンからわずか3億8000万年後の形成とみられる銀河を含め、EGS-zs8-1より古い可能性のある銀河を発見している。 ただしこの数字は、銀河の色の大雑把な測定から、経験にもとづいて推測したものにすぎない。 銀河の色は、地球からの距離(つまり古さ)を知るための重要な手がかりとなる。 膨張する宇宙の中では遠方の銀河ほど高速で遠ざかっていくが、光のドップラー効果(赤方偏移)により、高速で遠ざかる銀河ほど赤みがかって見えるからだ。 オシュ氏らも、ハッブル宇宙望遠鏡とスピッツァー宇宙望遠鏡の両方を使って、この方法でEGS-zs8-1が遠方の銀河であることに気づいた。 けれども彼らは、さらにケックI望遠鏡を使って、距離を厳密に測定したのだ。 巨大なケックI望遠鏡の集光力は、どの宇宙望遠鏡と比較しても格段に高い。 天文学者たちは4時間の露光によりEGS-zs8-1のスペクトルを撮り、高い精度で距離を測定することができた。 (参考記事:) 「このときのEGS-zs8-1は、今日の銀河系の80倍の速さで星々を生み出していました」とオシュ氏。 EGS-zs8-1が異常に明るくなかったら、ケックI望遠鏡と強力な近赤外多天体撮像分光器MOSFIREをもってしても、その距離を測定することはできなかっただろう。 目指すは「古くてふつう」の銀河 天文学者たちは、EGS-zs8-1と同じ時代かさらに古い時代の、もっと暗く、もっとふつうの銀河を調べたいと思っている。 オシュ氏には、これから調べてみたい銀河が数百個あるが、そうした銀河の光は非常に弱いことが問題と言う。 論文の共同執筆者であるリック天文台のガース・イリングワース氏も、「これから先の道のりは困難を極めるでしょう」と予想している。 実際、光の弱い銀河を調べるのは非常に難しいので、数年後に打ち上げられるジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡や、2020年代初頭に稼働する予定になっている新しい大型地上望遠鏡の完成を待たなければならないかもしれない。 (参考記事:) それでも、「EGS-zs8-1を観測できたのは嬉しいことです。 遠方の銀河を見つけるたびに、古い時代の宇宙が見えてくる。 本当に面白いと思います」とイリングワース氏は言う。 文=Michael D. Lemonick/訳=三枝小夜子.

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地球から一番遠い星はどれ位離れているのでしょう?

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MACS0647-JDの像の1つ JD1。 AB等級 F140W: 26. 11 F160W: 25. 05 分類? 拡大画像はMACS0647-JDの像の1つ JD2。 11 Template (ノート 解説) MACS0647-JDとは、から見ての方向にある天体である。 地球からの距離が約319億光年と、2014年時点で最も遠い天体の1つである。 4 である。 この値は、これまで最も遠い天体であった の約10. 赤方偏移から算出されるMACS0647-JDまでの距離は約319億光年 である。 これは約134億年前 の宇宙にある天体であることになるが、これはビッグバンからわずか約4億年後 の事である。 MACS0647-JDの赤方偏移の値は、測光赤色偏移を測定する方法にて観測された。 この方法は、暗い天体に適用できるものの精度は落ちる。 より正確な値は分光赤色偏移によって算出すべきであるが、MACS0647-JDは暗い天体であるためこの方法が使えない。 MACS0647-JDまでの真の距離を知るには、に打ち上げ予定であるによる観測を待たねばならない。 なお、発見されている天体の中で赤方偏移の値が10を超えているのは、MACS0647-JDとUDFj-39546284のみである。 また、史上初の赤方偏移の値が11の値を持つ天体かもしれない。 上記の通り赤方偏移の値に不正確さはあるものの、MACS0647-JDは確実に最も遠方の天体である。 ただし、MACS0647-JDの発表からほぼ1ヵ月後になって、UDFj-39546284の赤方偏移の値が11. 9である可能性が示された。 UDFj-39546284の値の不確かさが大きいため、今のところMACS0647-JDが最遠の天体である可能性が高いが、仮に正しい場合、UDFj-39546284が再び最遠の天体に返り咲くことになる。 記録について [ ] MACS0647-JDは、観測史上最も遠い天体であり、また複数の波長で観測された天体としても最も遠い。 ただし、スペクトル分析、特にの測定が行われておらず、天体がかどうかはわかっていない(を参照)。 最も遠い天体について 名称 距離 赤方偏移 種類 備考 326億光年 11. 9 銀河? MACS0647-JD発見以降に示された新たな値(以前は10. 不確かさが大きい。 MACS0647-JD 319億光年 10. 7 銀河? 複数の波長で観測されている。 UDFj-39546284 317億光年 10. 3 銀河? 前回のレコードホルダー。 後に11. 9の値が示された。 309億光年 9. 6 銀河? 複数の波長で観測されている。 UDFy-33436598 301億光年 8. 6 不明 UDFy-38135539 300億光年 8. 5549 銀河? 正確な赤方偏移が求まっている中では最も遠い天体。 A1689-zD1 291億光年 7. 6 銀河? 51 銀河 銀河であることが証明されている中で最も遠い銀河。 286億光年 7. 085 最も遠いクエーサー。 物理的性質 [ ] MACS0647-JDは、恐らくであり、それも極めて初期の形態を持つと考えられている。 ただし、銀河であると証明するための分光観測は行われておらず、あくまでも推定である。 MACS0647-JDの直径はわずか600光年以下であり、これはの10万光年と比べればはるかに小さい。 また、より近い位置にある銀河の観測から、この時代の銀河の直径は2000光年であると予想されてきたが、それよりも小さいことになる。 銀河系をはじめとした現在の時代にある銀河は、MACS0647-JDのような小さな銀河が数十回から数千回も繰り返し衝突した結果、合体して大きくなったのではないかと言われている。 銀河系の年齢などを考えると、MACS0647-JDの時代から13億年までの間にこの衝突が行われなければならない。 MACS0647-JDに含まれるのみの質量はの1億倍から10億倍と推定されており、これは銀河系の100分の1から1000分の1しかない重さである。 見えないを含めた質量も100億ではないかと言われている。 MACS0647-JDの色は深い赤色をしているが、これは赤方偏移によって光の波長が引き伸ばされた結果の色である。 MACS0647-JDは宇宙初期の天体であるため、MACS0647-JDを構成する恒星は大質量星であることが予想される。 このため、MACS0647-JDの実際の色はに富んだ青白い色をしていると考えられている。 この紫外線が赤方偏移によって可視光の赤色まで波長が引き伸ばされた結果が、現在の地球で見られる色である。 MACS0647-JDからの強力な紫外線は、周辺にあるで電気的に中性となったを再電離し、と同じ状況を作り出している可能性がある。 そうだとすれば、MACS0647-JDが小さく見えるのは、電離した水素に邪魔されて放射が少なく観測されているためである可能性もある。 32倍である。 MACSJ0647. しかし、MACS0647-JDの手前には、地球から見て72億8700万光年先 に MACSJ0647. MACS0647-JDは、MACSJ0647. この重力レンズ効果による2倍近い増光によって、MACS0647-JDは観測することが出来たのである。 MACS0647-JDの3つの像は、明るい順にそれぞれ JD1、 JD2、 JD3と名づけられている。 JD1とJD2は見かけの位置が近くにあるが、JD3はやや離れている。 MACS0647-JDとその像 JD1 JD2 JD3 合計 06 h 47 m 55. 731 s 06 h 47 m 53. 112 s 06 h 47 m 55. 452 s 06 h 47 m 45. 17 27. 17 27. 17 26. 11 F160W 25. 09 26. 07 27. 10 25. 05 観測 [ ] MACS0647-JDは、ハッブルによる銀河団拡大観測および超新星サーベイ Cluster Lensing And Supernova survey with Hubble, CLASH プロジェクトによって、によって撮影された17ものフィルターによる画像の中から、2月に赤方偏移に由来する強い赤色の天体として発見された。 ただし、赤い天体はより近い位置にあるや、古い銀河である可能性もあるため、研究チームは数ヶ月かけてそれらの可能性を排除していった。 これにはも観測に用いられており、この位置にもし近い位置の天体であれば観測されるで明るい天体が無かったことから、MACS0647-JDが遠方にある天体である事が判明した。 論文は2012年に掲載された。 関連項目 [ ]• 出典 [ ].

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