冬木糸一。 『万物創生をはじめよう――私的VR事始』(みすず書房)

cdn.snowboardermag.com: 冬木糸一のサイエンス・フィクションレビュー傑作選 eBook: 冬木糸一: Kindleストア

冬木糸一

『生命進化の物理法則』 チャールズ・コケル,藤原多伽夫 河出書房新社 2,750円 税込• 商品を購入する• 商品を購入する• 『スクエア・アンド・タワー 上 : ネットワークが創り変えた世界』 ニーアル ファーガソン,柴田 裕之 東洋経済新報社 2,750円 税込• 商品を購入する• 『スクエア・アンド・タワー 下 : 権力と革命 500年の興亡史』 Ferguson,Niall,ファーガソン,ニーアル,裕之, 柴田 東洋経済新報社 2,750円 税込• 商品を購入する• 『ドライバーレスの衝撃—自動運転車が社会を支配する』 サミュエル・I・シュウォルツ,小林啓倫 白揚社 2,750円 税込• 商品を購入する• 『スノーデン 独白: 消せない記録』 エドワード・スノーデン,山形浩生 河出書房新社 2,090円 税込• 商品を購入する• 『「奴隷」になった犬、そして猫』 太田匡彦 朝日新聞出版 4,383円 税込• 商品を購入する• 『炎の中の図書館 110万冊を焼いた大火』 スーザン・オーリアン,羽田詩津子 早川書房 2,860円 税込• 商品を購入する 二〇一九年はジョナサン・B・ロソス『生命の歴史は繰り返すのか?』など物理法則と生物の進化の繋がりを解き明かす素晴らしいノンフィクションが多数刊行されたが、チャールズ・コケル『生命進化の物理法則』(藤原多伽夫訳/河出書房新社)もその流れに連なる一冊で、これも傑作といっていい。 生命進化には偶然が強く作用するから、スティーヴン・ジェイ・グールドは著書『ワンダフル・ライフ』の中で、仮に進化の過程を再現したならば、今とは異なる生物界が現れるだろうと語り、広く受け入れられた。 だが、この宇宙は一定の物理法則に支配されているから、動く時、泳ぐ時に最適な形は決まっている。 生物が生きていくためには、摂取できるエネルギー量を上回る力を逃走や捕食に用いることはできないから、自然と最適な形へと収束し、進化には必然ともいえる方向性が生まれるのではないかという問いかけを、本書では深掘りしていく。 てんとう虫やもぐらが、空を飛んだり地面を掘ったりする都合上なぜああした形をしているのかを解き明かし、次第に「なぜ地球の生物は構成要素に炭素を用いるのか?」「地球外生命体には炭素以外をメインとして構成する生物は想定できるのか?」といった、宇宙生物学の領域までもが射程に入ってくるのだ。 地球から何千何万光年離れた場所であっても、物理法則に変わりはない。 物理学と進化生物学のあいだに存在する繋がりを解明する、エレガントなサイエンスノンフィクションだ。 ヘンリー・ジェイ・プリスビロー『意識と感覚のない世界』(小田嶋由美子訳/みすず書房)は、医療従事者の中でも実際に手術や治療を担当することはめったになく、比較的光のあたりづらい、麻酔科医の日常について書かれたエッセイである。 患者の記憶には残りづらいかもしれないが、その仕事は超重要だ。 手術中に患者のバイタルが不安定になったり、失血による心拍リズムの変動に応じて患者を適切な状態に戻すのは、麻酔科医の役割なのである。 麻酔の仕組みについての化学的な紹介や、その歴史についての記述と著者の体験談がいい具合にブレンドされていて、読み終える頃には麻酔科医への強い感謝を覚えているだろう。 ニーアル・ファーガソン『スクエア・アンド・タワー』(柴田裕之訳/東洋経済新報社)は直訳すると「広場と塔」という不思議な書名だが、これはそれぞれ人間関係におけるネットワーク型と階層型の構造をさしている。 本書では、これまであまり顧みられることのなかった、しかし今では支配的であるネットワーク的な人間関係が、歴史に応じてどのように機能してきたのかを解き明かしていく。 たとえば、アメリカのキッシンジャーがその最高位というわけではない地位にありながら、なぜあれほどの影響力を持っていたのかを、書簡などのやりとりからある程度客観的に理解できるようになるなど、新しい観点から歴史を捉え直してくれる快作である。 サミュエル・I・シュウォルツ『ドライバーレスの衝撃 自動運転車が社会を支配する』(小林啓倫訳/白揚社)は日々その存在感を増しつつある自動運転車についての一冊。 自動運転なんて自分には関係がないと思うかもしれないが、たとえば今、長時間満員電車に乗って通勤している時間が、落ち着いて横になって眠れる時間になったとしたら、多くの人は喜んでそうするのではないか。 そうしたら、自分専用車を持つことは今よりも魅力的な選択肢になるはずだ。 リアルな未来予測に、確かにそうなるかもとうなずくことしきりであった。 アメリカ国家安全保障局(NSA)による国際的な監視網について告発し、その名を轟かせたエドワード・スノーデン。 『スノーデン 独白 消せない記録』(山形浩生訳/河出書房新社)は、そんな彼が自身の幼少期から語り始め、なぜ告発に至ったのかを明らかにする自伝である。 幼少期には別に興味ないなあ...... 趣向を変えて紹介したいのは太田匡彦『「奴隷」になった犬、そして猫』(朝日新聞出版)。 ペットショップでの生体販売ビジネスの闇についての本だが、犬や猫を愛する身からすると目をそむけたくなるような現実が語られている。 たとえば、現在商業要請によってペット用の犬や猫が大量生産されているが、小売までの流通過程で二万匹以上の犬猫が死んでいる。 飼育業者への数値規制がないので、猫四〇〇匹を二人で管理していたり、餌の管理も十分ではなく共食いすらも起きている状況があるのだ。 業界側にもそうした状況を変えようと動いている人が多くいるが、一消費者としても何ができるのか、考え直すきっかけになった本である。 最後になるがスーザン・オーリアン『炎の中の図書館』(羽田詩津子訳/早川書房)は一九八六年にロサンゼルス中央図書館で起きた火災を扱った一冊。 一一〇万冊が焼けるか損傷したこの未曾有の大事件で、本を守るために市民が起こした行動や、世界中で焼かれてきた図書館の歴史、図書館の未来の在り方についてなど、幅広く図書館についての思考をめぐらせてゆく。 (本の雑誌 2020年3月号掲載).

次の

集荷|冬木糸一|note

冬木糸一

『生命進化の物理法則』 チャールズ・コケル,藤原多伽夫 河出書房新社 2,750円 税込• 商品を購入する• 商品を購入する• 『スクエア・アンド・タワー 上 : ネットワークが創り変えた世界』 ニーアル ファーガソン,柴田 裕之 東洋経済新報社 2,750円 税込• 商品を購入する• 『スクエア・アンド・タワー 下 : 権力と革命 500年の興亡史』 Ferguson,Niall,ファーガソン,ニーアル,裕之, 柴田 東洋経済新報社 2,750円 税込• 商品を購入する• 『ドライバーレスの衝撃—自動運転車が社会を支配する』 サミュエル・I・シュウォルツ,小林啓倫 白揚社 2,750円 税込• 商品を購入する• 『スノーデン 独白: 消せない記録』 エドワード・スノーデン,山形浩生 河出書房新社 2,090円 税込• 商品を購入する• 『「奴隷」になった犬、そして猫』 太田匡彦 朝日新聞出版 4,383円 税込• 商品を購入する• 『炎の中の図書館 110万冊を焼いた大火』 スーザン・オーリアン,羽田詩津子 早川書房 2,860円 税込• 商品を購入する 二〇一九年はジョナサン・B・ロソス『生命の歴史は繰り返すのか?』など物理法則と生物の進化の繋がりを解き明かす素晴らしいノンフィクションが多数刊行されたが、チャールズ・コケル『生命進化の物理法則』(藤原多伽夫訳/河出書房新社)もその流れに連なる一冊で、これも傑作といっていい。 生命進化には偶然が強く作用するから、スティーヴン・ジェイ・グールドは著書『ワンダフル・ライフ』の中で、仮に進化の過程を再現したならば、今とは異なる生物界が現れるだろうと語り、広く受け入れられた。 だが、この宇宙は一定の物理法則に支配されているから、動く時、泳ぐ時に最適な形は決まっている。 生物が生きていくためには、摂取できるエネルギー量を上回る力を逃走や捕食に用いることはできないから、自然と最適な形へと収束し、進化には必然ともいえる方向性が生まれるのではないかという問いかけを、本書では深掘りしていく。 てんとう虫やもぐらが、空を飛んだり地面を掘ったりする都合上なぜああした形をしているのかを解き明かし、次第に「なぜ地球の生物は構成要素に炭素を用いるのか?」「地球外生命体には炭素以外をメインとして構成する生物は想定できるのか?」といった、宇宙生物学の領域までもが射程に入ってくるのだ。 地球から何千何万光年離れた場所であっても、物理法則に変わりはない。 物理学と進化生物学のあいだに存在する繋がりを解明する、エレガントなサイエンスノンフィクションだ。 ヘンリー・ジェイ・プリスビロー『意識と感覚のない世界』(小田嶋由美子訳/みすず書房)は、医療従事者の中でも実際に手術や治療を担当することはめったになく、比較的光のあたりづらい、麻酔科医の日常について書かれたエッセイである。 患者の記憶には残りづらいかもしれないが、その仕事は超重要だ。 手術中に患者のバイタルが不安定になったり、失血による心拍リズムの変動に応じて患者を適切な状態に戻すのは、麻酔科医の役割なのである。 麻酔の仕組みについての化学的な紹介や、その歴史についての記述と著者の体験談がいい具合にブレンドされていて、読み終える頃には麻酔科医への強い感謝を覚えているだろう。 ニーアル・ファーガソン『スクエア・アンド・タワー』(柴田裕之訳/東洋経済新報社)は直訳すると「広場と塔」という不思議な書名だが、これはそれぞれ人間関係におけるネットワーク型と階層型の構造をさしている。 本書では、これまであまり顧みられることのなかった、しかし今では支配的であるネットワーク的な人間関係が、歴史に応じてどのように機能してきたのかを解き明かしていく。 たとえば、アメリカのキッシンジャーがその最高位というわけではない地位にありながら、なぜあれほどの影響力を持っていたのかを、書簡などのやりとりからある程度客観的に理解できるようになるなど、新しい観点から歴史を捉え直してくれる快作である。 サミュエル・I・シュウォルツ『ドライバーレスの衝撃 自動運転車が社会を支配する』(小林啓倫訳/白揚社)は日々その存在感を増しつつある自動運転車についての一冊。 自動運転なんて自分には関係がないと思うかもしれないが、たとえば今、長時間満員電車に乗って通勤している時間が、落ち着いて横になって眠れる時間になったとしたら、多くの人は喜んでそうするのではないか。 そうしたら、自分専用車を持つことは今よりも魅力的な選択肢になるはずだ。 リアルな未来予測に、確かにそうなるかもとうなずくことしきりであった。 アメリカ国家安全保障局(NSA)による国際的な監視網について告発し、その名を轟かせたエドワード・スノーデン。 『スノーデン 独白 消せない記録』(山形浩生訳/河出書房新社)は、そんな彼が自身の幼少期から語り始め、なぜ告発に至ったのかを明らかにする自伝である。 幼少期には別に興味ないなあ...... 趣向を変えて紹介したいのは太田匡彦『「奴隷」になった犬、そして猫』(朝日新聞出版)。 ペットショップでの生体販売ビジネスの闇についての本だが、犬や猫を愛する身からすると目をそむけたくなるような現実が語られている。 たとえば、現在商業要請によってペット用の犬や猫が大量生産されているが、小売までの流通過程で二万匹以上の犬猫が死んでいる。 飼育業者への数値規制がないので、猫四〇〇匹を二人で管理していたり、餌の管理も十分ではなく共食いすらも起きている状況があるのだ。 業界側にもそうした状況を変えようと動いている人が多くいるが、一消費者としても何ができるのか、考え直すきっかけになった本である。 最後になるがスーザン・オーリアン『炎の中の図書館』(羽田詩津子訳/早川書房)は一九八六年にロサンゼルス中央図書館で起きた火災を扱った一冊。 一一〇万冊が焼けるか損傷したこの未曾有の大事件で、本を守るために市民が起こした行動や、世界中で焼かれてきた図書館の歴史、図書館の未来の在り方についてなど、幅広く図書館についての思考をめぐらせてゆく。 (本の雑誌 2020年3月号掲載).

次の

cdn.snowboardermag.com: 冬木糸一のサイエンス・フィクションレビュー傑作選 eBook: 冬木糸一: Kindleストア

冬木糸一

何より暗殺の作戦数が豊富で、一説によるとイスラエルがこれまで国として行ってきた暗殺作戦は2700件にも及ぶという。 イスラエルが国として成立したのが70年前の1948年であることを考えると、驚異的な数といえる。 というわけでこの『イスラエル諜報機関』は、そんなイスラエルの諜報機関がこれまで行ってきた暗殺作戦を、その最初期から現代に至るまで丁寧に追った一冊になる。 イスラエルの諜報機関の情報って公開されてんの?? と疑問に思ったが、やはりまったく公開されていないみたいで、国防省に調査協力を求めても無意味。 イスラエルの各情報機関に、法律の規定に基づいて過去の文書の資料開示を要求するが、なんと裁判所が共謀して手続きを引き伸ばしている間に法律自体が改正され、50年だった秘密保持期間が70年になってしまったという。 お前はミッキーマウスかよ。 さらに、バイネームで著者の調査を邪魔するために彼の調査を阻む特別会議が開かれ、職員には個別の面談を行うなど厳戒体制をしかれていたようだ。 そうした網をかいくぐって著者は情報機関のリーダー、現場の工作員、政界の人間などにコンタクトをとって情報を集め、7年以上に渡る期間を経て本書として結実した、という経緯のようである。 実際、読んでみたらそのデータ、状況の描写の細かさと密度。 そして単純な質量にぶったまげてしまった。 上下巻で1000ページ超え、原注と作中だけで200ページある。 読むのも圧倒的に大変だったが、いやはや、これがおもしろい! 当然ながら暗殺作戦なんてそうそう簡単にうまくいくわけではない。 それをどうやって確実に成功させるのか、また失敗した時にどうやってリカバリーするのか。 歴史の中では手痛い失敗も 人質救出作戦で突入する階を間違えて人質を何十人も殺されるとか 数多くやらかしていて、そのすべてが本書の中にまとまっている。 それだけではなく、時の変化の中には技術の変化、攻撃の変化も含まれていて、たとえば自爆テロに暗殺でどう立ち向かうのか。 ドローンを暗殺にどうやって組み込むのか、倫理の崩壊にどう立ち向かうのかなど多くの論点が詰め込まれている。 読むのに時間がかかるのは確かだが、とにかく凄いのだ。 そもそもなぜそんなに暗殺しなければいけないの?? しかしなぜイスラエルという国はそこまでの暗殺大国、諜報機関大国にならなければいけなかったのか。 それは当然といえば当然だが、国家が直面する危機に対処するためだ。 イスラエルという国は建国された瞬間から常に危険と隣合わせだった。 国家樹立宣言後の深夜に、周辺のアラブ諸国から送り込まれた7つの陸軍部隊がイスラエルを攻撃し、ユダヤ人集落を制圧し多数の死傷者を出している。 イスラエルは素早く部隊を編成し、防衛・攻勢に回ったが、周囲の国家は新しい国家の正当性をまったく認めておらず、生まれたばかりの未熟な国防軍が一時的に撃退を重ねているにすぎない。 そして、イスラエルの長く複雑な国境を防衛することは難しい。 そうした状況で必然的に選択されたのがインテリジェンスに力を入れるという選択だった。 六月七日、ベン=グリオンはテルアビブの元テンプル会居住区にある自分のオフィスに、シロアッフをはじめとする幹部や側近を招集した。 その場でシロアッフは、ベン=グリオンに次のようなメモを手渡した。 「インテリジェンスは、われわれがこの戦争において緊急に必要とする軍事的・政治的ツールである。 これを、 平時の 政府機関を含め、国が恒久的に利用できるツールにしなければならない」 この日、ベン=グリオンは3つの機関の設立を命じるが、それがシン・ベト、アマン、政治局 これが、一年後にモサドになる であった。 イスラエルの諜報機関の歴史はここからはじまるのである。 泥沼化していく暗殺 本書を通して読んでいくと、確かに所定の目標をあげているように見える暗殺も多いが 周辺国の核開発に関わる科学者を次々と暗殺してその開発進捗を止めたり 、まるで無意味にみえる暗殺もあれば、「いったいこの暗殺に意味はあるのか……?」と判断がつかないようなものもある。 ただ、それに対する機関側の言葉が凄い。 たとえば、1990年代の後半からイスラエルは度重なる自爆テロに悩まされるが、自爆テロ犯をとめるのに暗殺を実行してもしょうがない。 では、どうすればいいかということで2001年末以降は自爆テロ犯の背後にいる活動の基盤をターゲットにしようと、地域の工作員からタクシー運転手、自爆テロ犯の別れのビデオを撮影するカメラマンまで、広範な領域を暗殺対象に含めることになる。 「そいつらも殺してもしょうがなくね?」と思うのだが、情報機関は自爆テロの指揮に積極的にかかわっているのは300人以下であり、ある程度殺してビビらせればテロも減ると考えていた。 誰かが暗殺されれば、すぐ下の人間がその地位を引き継ぐことになるが、それを繰り返していくと、時間がたつにつれて平均年齢は下がり、経験のレベルも落ちていく。 イツハク・イランは言う。 「ある日、PIJのジェニーン地区の指揮官が取調室に連れてこられた。 たまたま殺さず生け捕りにしたんだが、その男が一九歳だと知ってうれしくなったよ。 勝利が目前に迫っていることがわかったからね。 われわれは、この男に至るまでの鎖の輪をすべて断ち切ったんだ」 殺し続ければいずれ代わりもいなくなるのは人間が有限である以上真実だが、なんともまあ……という感じの発想だ。 そもそもこの対処をしているのも、イスラエルでハマスからの自爆テロ者が多いときには数日おきに爆発を起こして何百人も 2002年3月、自爆テロだけで女性、子ども含む138人が死亡している 殺していることへの報復措置なのであって、泥沼化しているよなと思いながら読んでいた。 兵士は明らかに違法な命令には従ってはならない 個人的に好きなエピソードは、首相が精神衰弱で実務が行えない状態で実験を握りつつあるシャロンに反抗した軍人らが従った教訓の話である。 イスラエル国防軍には、訓練の際に教えられる教訓がある。 その教訓が生まれたのは1950年のことで、イスラエルの国境警備隊が、外出禁止時間帯に仕事から戻ってきた大勢の住民を集め、射殺した事件に起因している。 これにより女性や子どもを含む43人が死亡した。 裁判になったが、警備隊は夜間外出禁止令に違反したものは射殺せよという命令を守っただけだと主張した。 だが、この時の判事はこれについて「兵士は明らかに違法な命令には従ってはならない」との判決を下した。 これはホロコーストに対する意識から出てきた判決でもあるのだろう。 以来、これはイスラエル国防軍の教訓になっている。 シャロンは「ターゲット以外の人間も乗っている民間機であってもターゲットを殺すためには撃墜せよ」と命令を下したが、現場指揮官らはこれに背いたのである。 セラは言う。 「命令を受けると、私はイヴリを連れてエイタンに会いに行き、こう言った。 『参謀総長、われわれにこの作戦を実行するつもりはありません。 絶対に行いません。 ここが国防大臣の指揮下にあることは理解しています。 誰も大臣には逆らいません。 だからこそ、われわれが食い止めます』。

次の